軽トラキャンパー(キャンピングカー)をDIYで自作したい。
Q:馬渕さんこんにちは。
FRP素材屋さんが雑誌にいくつか掲載されていました軽トラのキャンピングカー(軽トラキャンパー)のシェルを自分で作りたいです。
材料的にはこちらで用意し、最後にFRPでコーティングしたいです。
作り方を教えて下さい。
できれば電話いただけるとうれしいです。
A:いつもお世話になりありがとうございます。
FRP素材屋さん馬渕です。
大変申し訳ないのですが、
お電話での解答は現状できない状況です。
日中は電話サポート含め全国から問い合わせが殺到するためです。
1日平均40件ほど専門的な質問が来ており1名で対応しているため手一杯です。
購入後のお客様を最優先しておりますすのでご理解ください。
ご理解をいただけると大変嬉しく思います。
軽トラキャンパーの製作方法は技術的にアドバイスが
多岐に渡りますので、どこをどう説明したらよいのかわかりかねますが、
ポイントを絞って解説したいと思います。
雑誌にいくつか記載されたのはFRPでも合板下地に直接貼り付けるカバリングとかライニングと言われる手法です。
下地を作ってその上に張り込んでいく方法で、下地はそのまま残ります。
一方型を作って、型から外す方法ですと型作り+離型が必要になり、一気に難易度が跳ね上がります。
合板などに貼り付けるライニングであれば当店の得意分野ですので
使用材料はお問い合わせくださいね。
※お客様製作品
FRPの基本ですが、
樹脂に硬化剤を入れて硬め、内部に補強用のガラスマットを入れる。
これがFRPです。
合板で作ったシェル(外殻)にFRPでライニングすることで飛躍的に防水性と耐久性、
躯体剛性を高める事ができます。
さて、雑誌では通常の樹脂を使っていましたが、
木目を活かしたい場合、淡色の樹脂が適していると考えられます。
【国産 カーボン用クリア樹脂 20kg】PC550T 半透明クリア インパラ |
樹脂のタイプは硬質タイプ(普通のタイプ)で良いです。
上から塗装する、またはコストを求めるのであれば一般硬質タイプ
【フレンズポリ 国産硬質ポリエステル樹脂 インパラ 18kg】青FRPR18P 販売価格 10,197円 税別価格 9,270円 |
透明度、下地の木質性を出したい場合は淡色タイプ
適している樹脂は以下の
硬質インパラ樹脂が該当の樹脂になりますね。
国産フレンズポリでも台湾でもどちらでも良いかと思います。
ただし、今回のように壁面にFRPを施工する場合においては、タレが懸念されます。
その場合は、タレドメアエロジルなどの粉末を添加していただくか、防水樹脂を使用していただくようにしてください。
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コスト重視
【フレンズポリ 国産硬質ポリエステル樹脂 インパラ 18kg】青FRPR18P 販売価格 10,197円 税別価格 9,270円 |
木目重視
【国産 カーボン用クリア樹脂 20kg】PC550T 半透明クリア インパラ |
施工性重視
【船舶検定品】国産 硬質ポリエステル樹脂 インパラ 20kg 【青ラベルPC916T】 販売価格 15,400円 税別価格 14,000円 |
基本的にどれでもできます。
あとは、施工性をもとめるか、コストをもとめるか、色合いを求めるか。
の違いになります。
樹脂で一番大切なことは鮮度ですので、きちんと季節型があっているかどうかを確認しましょう。
季節型があっていないと冬に全く硬化しなかったり、夏にタレて全部やりなおしになったりすることもあります。
(FRP素材屋さんでは商品回転率が0.4ヶ月平均ですので問題ないです。)
◎下地作り◎
良い製品を作るためには下地が8割をしめます。
今回、箱形状のため角部の積層がポイントになってきます。
角部については、ガラスマットが角に密着しないので、防水テープを張り込んで直角を出すようにしてください。
防水テープは50-75ミリ巾の不織布付きのテープで、ガラスマットの代わりになります。
これをあらかじめ張り込んでいきます。
密着製と耐溶剤性も問題ありません。
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製作例:合板製キャンパーに75ミリの防水テープを角に貼ります。
1.角から32mmの地点に鉛筆で何箇所かマーキングをする。
2.マーキングした地点を目印に防水テープを貼ります。
3.防水テープはテンション(強めに張る。)を掛ける事で直線がでて綺麗に貼ることができます。
4.きちんと貼れると両側に対し、およそ32mmづつ貼れるようになるかと思います。
ブチルゴムは動きがあるテープです。あまり下地がぐらつくと応力がかかって切れる場合がありますので、その場合は下地ごと作り直してください。
5.ガラスマットを当てる部分はテープの32mmに対して約半分を基準にします。
カドまでいっぱいにガラスマットを当てると後工程でカット工程が入り、防水テープを切ってしまったりするので注意が必要です。
◎凹凸部の処理◎
半透明で下地を活かしたい場合は、ガラスマットを細かく切ったものを樹脂にまぜパテを作って凹部に充填します。
凸部についてはFRPの積層の障害となるので、サンダー、グラインダーなどで平滑にしてください。
◎シーラー処理◎
シーラーについてはウレタン系のものを使用します。
ウレタン系シーラーは紫外線で黄変するので木のカラーによっては回避することもあります。
シーラーの目的は下地とFRPを強固に一体化させるためのものです。
塗布量は0.2kg/㎡
吸い込みが激しい場合は、塗布量が変化します。
軽トラキャンパーのサイズはボックスの高さが1,800mmだとすると
外面でおよそ15㎡になります。
そのため15*0.2≒3kgのウレタンシーラーが必要です。
◎ガラスマット張り込み◎
よく下地に樹脂を一旦ぬってからガラスマットを
ということが書いてあるケースがあります。
しかしこの方法、衛生的ではなく、タック性が作業の邪魔になるのでおすすめしません。
途中で下塗りが固まってきますしね。
下塗りはやめましょう。
優秀な職人は作業環境が必ず綺麗です。
最初にガラスマットを仮止めしておきます。
下地は乾いてますので、しっかりと時間をかけてガラスマットをわりづけしましょう。
※経験が浅い方は、エリアをくぎって作業することを強くおすすめします。
下にやり方は記載してます。
面倒な方は
【FRP防水おまかせセット】10㎡分セット 販売価格 30,976円 税別価格 28,160円 |
【FRP防水おまかせ追加セット】5㎡分セット 販売価格 18,186円 税別価格 16,839円 |
【ポリウレタンシーリング剤 ノンブリードMAX320ml 1本】ホワイト タイルメントS-300同等品 販売価格 616円 税別価格 560円 |
【シリコンシーラント用カートリッジガン 1本】詰まり止め・ノズルカッター付き 販売価格 671円 税別価格 610円 |
【FRP用防水テープ75mm】
販売価格 1,518円
税別価格 1,380円
このあたりが必要材料になりますので注文すれば大丈夫です。
☆施工場所の目安☆
風がない場所
下を養生しておく
というのがポイントです。
大型でかつ成型物を積層する際は、塗布に集中する環境がいちばん大事なので、
ガラスマットが動かないよう、ハンディタッカー、養生テープにてガラスマットをガチガチに固定する方法がベターです。
シビアな防水性等を求めるのでなければタッカーはそのまま残しておいて大丈夫です。
養生テープは取りやすいように、取り代を作っておくことが重要です。
養生テープのタイプは中粘着以上の物が必要です。
何かと便利なテープなので一個持っておくとベターですね。
また大きめのゴミ袋を2個用意しておき、不燃用と可燃用に用意しておくことが大事です。
優秀な職人は作業中バタバタしないよう準備ができている。
◎樹脂塗布◎
樹脂は壁面が多いのでタレドメが入っているもしくは
あとから入れる必要があるでしょう。
【アエロジル】1kg ダレドメ用粉体 販売価格 3,888円 税別価格 3,600円 |
1kgでも相当な量があるので、少しづつ添加していきます。
あまり入れすぎると透明度が下がってきます。
壁面はこれがないと下に垂れてきますので注意が必要ですね。
樹脂については硬化剤は1%以下にしたいところです。
一度にたくさん樹脂を作ると途中で硬化がはじまり収集がつかなくなることが初心者の方によくあります。
そのため少ない量で、硬化材少なめ。というのが少なくとも最初の方法となります。
硬化が遅いと心配になりますが、安心して作業ができるのとあらかじめタレドメをいれておくことでタレを防止できます。
想定されるトラブルの元を準備段階で削っておくのが優秀な作業者のポイントです。
トラブルを事前に予知しておけば何倍も作業が効率的になります。
さて、ここで想定されうるトラブルを列挙したいとおもいます。
◎想定されるトラブルと対処法◎
1.ガラスマットが風で飛散する。
ガラスマットをわりづけしておいたのに、風で飛ばされる。
そうなるとてんやわんやになります。
この場合は、テープ、タッカーの留めが悪いことと、風の入り口を作ってしまうことに原因があります。そのためわりづけ段階からぴっちりと張り込んでいくことが重要になるでしょう。また事前準備は以下の通り。
無風状態にする衝立、防風板をつける。倉庫など屋内で作業する。
タッカーで打ち付ける。養生テープでガチガチに固定しておく。
風が強いと硬化が早く成ることがあります。
※FRP素材屋さんのガラスマットは低飛散タイプです。
2.樹脂が途中で硬化してきた。
作業中に樹脂が硬化してくるほど恐ろしい物はありません。
そのため優秀な職人は、最初の方で樹脂の硬化時間の目安を掴んでおきます。
また作業が遅くなりそうな場合、または初心者の場合
樹脂の製作量を減らす。硬化時間を長くするため硬化剤の添加量を減らす。
最初は1kgの少量、硬化剤1%から始める。
硬化時間はタレとのトレードオフの関係があります。そのためタレドメ材を入れて硬化時間を長くする。
これがキャンプカー・キャンパー製作時にはベターな方法のような気がします。
3.下地の凹凸が積層の邪魔をする。
凹凸を予め削っておく。凹部にはパテで詰め物をする。
凸部があるとガラスマットをはがして削らないといけません。
塗布する前に、全面さらっとペーパーがけをするだけで大分違います。
4.脱泡ローラーが固まってきた。
つけ置きできる容器とアセトンを用意しておく。
これは結構大事なポイントです。
塗布ローラーは使い捨て、脱泡ローラーはアセトンつけおきで再利用。
これが基本です。
5.樹脂が下にタレてえらいことに。
下地を全面養生しておく。新聞だと浸透することを想定しておく。
優秀な職人は垂れるであろう範囲+風で飛ばされる範囲+マージン
で養生します。
逆の職人はタレたものを後で掃除する。
垂れるであろう範囲の養生で飛び散ったものを掃除する。
こういった考え方の違いがあります。
木材にたれたものを拭き取るよりは、最初から新聞紙でもおいておいた方が結果としての施工性は高いといえます。
養生材をケチっては良いものはできません。
※養生用コロナマスカーはテープ部とビニール部に分かれています。
テープを貼ってビニール部を伸ばすと、55cmの大きな範囲をカバーできます。
さらにコロナ放電処理をしてあるため塗料が付着しやすくなっております。
ポイントはピンピンに張ることがポイント。
なぜなら張ってないと風を巻込みバタつくか、風で飛ばされやすくなるからです。
◎樹脂の含浸◎
硬化剤をまぜたら樹脂をガラスマットに染み込ませていきます。
塗布ローラーに樹脂をつけてガラスマットにおいていきます。
置いていくだけで自然に浸透していきます。
優秀な職人はガラスマットへの自然浸透と重力のちからを利用します。
逆の人は、自分の力で無理やりガラスマットへ浸透させようとします。
浸透しきったところで脱泡作業に入ります。
浸透しきった所・・・と言うのはわかりづらいですが、
合板下地の見た目で言うと全体が飴色になったポイントです。
そこまでは素材の浸透力や、重力にまかせて最後の空気抜き工程のみを行います。
あまり空気が抜けきれない場合があります。その場合はほっておいて次に進みましょう。
※空気が抜けきれない場合の殆どがガラスマットが馴染みきれない箇所にあたっているということです。
具体的には、
◎樹脂の量が足らない
◎下地の凸、バリが邪魔になっている。
◎角部の直角がきつすぎてガラスマットが馴染んでいかない。
の3点です。
殆どは準備段階の問題ということがわかりますね。
◎エリア別積層法◎
大型のライニングの場合最初はエリアを区切って施工したほうが良いかもしれません。
ガラスマットの巾が1Mですので、この部分を施工し、次硬化したらガラスマットを張って…
というようにする方法です。
つなぎになる部分は50mm~ラップさせ重ねて行きます。
カットマットの突きつけをやる方が見えますが、繊維が入ってない部分で切れる可能性が極めて高いので、きちんとラップ(重ねる)させましょう。
ラップ部同士を目立たせなくする方法は、カットマットの部分をほぐして上げるとよいです。(FRP素材屋さんのセット品はホグシ品で、ちぎる必要がありません。)
バリがあるとフクレになるので、バリを削り取ってください。
研磨すると白くなるので注意してくださいね。
1エリア終わったら2エリアというようにずらしながら施工していきます。
◎トップコート塗布◎
トップコートを塗る場合は、研磨した後トップコートを塗ってください。
トップコートの硬化剤添加量は樹脂と同じです。
塗布量は0.4kg/㎡になります。
可能であれば中塗りをしたいですね。
◎中塗り◎
中塗りはトップコートと樹脂層の間に一層塗る工程で、
1.研磨する際に凹凸、バリがわかりやすくなる
2.ガラスマット目を目立たせなくする
3.トップコートの欠けにたいする対策
4.伸び率を合わせて密着性を高める
といった目的で行われます。
中塗りは0.5kg/㎡程度になります。
壁面はあまり塗布量をつけると垂れるので注意してください。
壁面のタレに注意です。
中塗り剤は、あまった樹脂にトップコートを少し入れてカラーづけをし、下塗りする工程です。トップコートを1割から2割入れて中塗り樹脂を製作します。
どうでしたか?ポイントを絞っていますが、読んでおくだけで大分できあがりと作業スピードが違うと思います。
準備が8割、先を急ぎたい気持ちはわかりますが、準備に時間をかけた方が圧倒的に作業は早くなるということをよく覚えておきましょう。
◎雑誌掲載について◎
ありがとうございました
購入したFRPで
キャンピングカーを製作
3年になりますが
今も雨漏りなく
快適にキャンピングライフを楽しんでます
手作りキャンピングカーはFRPで決まり、最高!
写真を送ります
ありがとうございました
購入したFRPで
キャンピングカーを製作
3年になりますが
今も雨漏りなく
快適にキャンピングライフを楽しんでます
手作りキャンピングカーはFRPで決まり、最高!
動画を送ります
https://www.youtube.com/watch?v=Dde3Db-zZz0