二水石膏、半水石膏、無水石膏の違いとは?

化学で理解する!石膏(せっこう)の三態の違いと水和反応

こんにちは!

FRP素材屋さん馬渕です。

 

今回は、わかりにくい二水石膏半水石膏、それに無水石膏について解説します。

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今回は、建材や医療、美術など、さまざまな分野で活躍する身近な物質、「石膏」について深掘りしてみましょう。

石膏の正体は「硫酸カルシウム」です。この硫酸カルシウムが、どのくらいの水分子

を自身の結晶構造内に取り込んでいるか(水和しているか)によって、性質がガラッと変わる3つの形、つまり「三態」が存在します。

この変化は、温度管理された脱水反応と、自発的な水和反応によってコントロールされています。

1. 二水石膏(にすいせっこう)

化学式 CaSO4​⋅2H2​O
和名 硫酸カルシウム二水和物
特徴 天然石膏の形で産出される、安定した結晶。
用途 石膏ボードやセメントの原料。
  • 構造: 分子と結晶水がガッチリと結合しています。
  • 安定性: 常温・常圧で最も安定しているため、天然に広く存在します。
  • 性質: 水に溶けにくく、そのままでは固まったりはしません。
  • 特徴:湿気った砂みたいな感じです。 

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商品としては、

①耐熱石膏→G2

②HS650硬め

③HS700スタンダード

④HS750やや柔らかめ

⑤B13低膨張

⑥B13R低膨張&速硬化タイプ

⑦フレンズ石膏 5kg、2kg、1kg 扱いやすいサイズ HS700同等

というパターンがあります。

 

2. 半水石膏(はんすいせっこう)- 凝結反応の主役

化学式 CaSO4​⋅21​H2​O
和名 硫酸カルシウム半水和物
別名 焼き石膏、焼石こう(セッコウ)、プラスター
特徴 水を加えると発熱しながら固まる(凝結)。
用途 ギプス、型取り材、セメント製品など。
  • 生成(脱水反応): 二水石膏(長男)を約 100∘C ∼ 150∘C の範囲で加熱すると、結晶水の一部が蒸発して作られます。

    我々が一般的に石膏と思っている商品がこちらです。

     

  • 凝結(水和反応): 半水石膏に水(H2​O)を加えると、失われた水分子を取り込み、再び安定な二水石膏(長男)の結晶となって固まります。半水石膏と、二水石膏はお互いを行き来できます。
    • 硬化反応は発熱反応になり、固まるときに熱を出すのが特徴です。
    • 固まるときに微小な体積膨張(硬化膨張)を起こします。ポリエステル樹脂が収縮するのと違いますね。
      型取り材などの製造に適しています。

3. 無水石膏(むすいせっこう)

化学式 CaSO4​
和名 硫酸カルシウム無水物
特徴 結晶水を持たない。
用途 乾燥剤、特殊セメントの材料。
  • 生成(完全脱水): 二水石膏や半水石膏を400度の高い温度で長時間加熱すると、全ての水分子が蒸発し、結晶水のない無水石膏となります。
  • 安定性: 用途が他の2つと異なり、樹脂などの不燃性フィラーにしたりします。難燃性、不燃性を付与するフィラー(添加物)となります。
    たとえば、電子機器内の耐熱性が必要な部材に、混ぜ込むことで、耐熱樹脂部品となったりします。
  • 性質: 二水、半水石膏には戻りません。
  • 特徴:水を持たないサラサラの粒子になります

まとめ:温度と水と石膏

半水石膏が水と反応して二水石膏に戻る水和・凝結反応は、熱化学や結晶学が深く関わる興味深い現象です。私たちの身の回りの製品には、このシンプルな化学反応が応用されているのですね。

 

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