古城、山城の仕組みを知ろう!古城探検!第十二弾

今回、学研の名著、歴史群像シリーズの奮迅真田幸村の砥石城のイラストを使って
山城の仕組みと用語を解説していきたいと思います。

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山城は図のように樹木を切削して周囲に城のありかを知らしめていたということです。
現在のようなただの山ではなく、”はげ山”のため遠方からもよくわかったと思います。

このイラストの砥石城”といしじょう”は信濃、今の長野県にあります。
武田信玄が村上義清を攻めるものの、
無残に撃退されました。
その様は”砥石崩れ”として有名です。

○WIKIより抜粋
砥石城の戦いは武田軍の完敗であった。兵力的にも、7000人の武田軍の3分の1程度の2500人の村上軍相手に、しかも村上軍の犠牲が皆無に等しいのに対し、武田軍は武田二十四将に数えられる横田高松をはじめおよそ1200人もの将兵を失った。
武田信玄の生涯の中で、砥石城の戦いは最大の負け戦といわれている。このため、この戦いは「砥石崩れ」と呼ばれている。

防御陣地の説明。

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①曲輪・くるわ、他に郭(くるわ)、丸、などとも

図のように構築物であったり、武者たまりであったり、城兵用の防御陣地であったり、足場であったりといろんな役割を果たす平地です。
山の頂上などは本来凸型であるのが普通ですが、これを土木工事によって平地にしてあります。

大きな曲輪は集中防御陣地であり、一番大事な場所から1の曲輪(本丸、一の丸など)2の曲輪などと名称がついています。
地名の丸の内などはこの丸の内側といった意味ですね。
本来城塞の内側にあたるため歴史上主要な施設や、公共施設が多いです。

②堀切

言葉での説明は難しいですが、
砥石城ですと尾根が各曲輪間の連絡路になっています。
この連絡路を堀によって遮断し、防御性を高めてあります。aP106058322341.jpg

地名の堀切もこのような堀である場合が多いです。

③竪堀・たてぼり
読んで字のごとく、山に対して縦に入っている堀です。
之に対して横に入っているのが横堀です。
竪堀は山の谷から上がってくる敵がヨコ方向に移動するのを防止できます。

そのため敵を集中して攻撃できるメリットがあります。

またこの竪堀に入って初めてわかるのですが、視界が遮られてしまうというデメリットが非常に大きいです。
郡上の篠脇城では畝状竪堀群がみられます。
これはトタンの凹凸のように掘削した土木竪堀です。

この畝状竪堀に実際に入ってみると周囲との連携ができず、全く視界が確保できないのがわかります。

④土橋・どばし
堀切などにかけた土製の橋
これも虎口方面への敵の動線を集中できるメリットがあります。

つまり堀切によって大量の敵をここで足止めします。
土橋の形状が一人しか通れない場合、
城の前面からこの一人を集中的に攻撃できるメリットがあります。

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⑤切岸・きりぎし
曲輪などの垂直面を切削して角度をつけることで
登りづらくする。
動線を規制するなどの役割があります。

例えば曲輪の塀を切岸にすることで曲輪から直に上がってくる敵をなくし、虎口へ誘導する。
虎口は2~3方向から攻撃できるため守備隊の攻撃力が増加する。
といった役割があります。

⑥帯曲輪・おびくるわ
主要曲輪の周りに囲む形状の曲輪
陣地の防御性を高めたり、連絡性を高めたりする目的。

大洞城(一柳城)では1の曲輪の下段に半円状に囲む曲輪が見られます。
下段にある場合、腰曲輪などとも。

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⑦出丸・でまる
大阪城攻防戦の際の真田丸が有名。
主要曲輪の外部に独立して位置している曲輪

その目的は
見晴らしのよい場所に置いて敵の情報をいち早くつかむため
攻撃用の陣地
などの目的で利用されます。

平城などではより攻撃性を高める目的で外部に突出しているのは馬出とも呼ばれます。
広島城では2の丸が突出しており、これが攻撃用陣地ともなっています。

東濃の苗木城では大矢倉と言われる見事な出丸状の館跡があります。
これは本丸の視界をカバーし、かつ進行方向の敵を上部から攻撃できるようなメリットがあります。

⑧空堀
平城で堀といえば水をたたえていますが、
山城の場合、土木工事で単純に堀を掘削します。
水をたたえていないので空堀です。

⑨土塁
堀を作る際にかき出した土を利用して周りに塀を築きます。

東濃の明智城では通路の片側に大きな土塁を築いてあります。
この土塁によって敵の進行方向を規定できます。

山県大桑城の四国堀が有名なようですが、堀の横に掻き揚げた土塁があります。
このようにセットになっているケースが多いようです。

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⑩虎口・こぐち
虎の子の・・・などの語源と同じような意味でしょうか?
危険な入り口、大事な入り口といった解釈です。

守備側にとっては、1方向からの攻撃よりも2方向、2方向よりも3方向ということで
敵が少数になるように、味方が多数になるように設計されています。

また上下差を利用して守備隊に有利になるように設計されています。

兼山城の虎口が大変参考になりますが、
切岸、石垣などで規制された進路を通って行くと、上段周囲3方向から攻撃されるような形状のスポットにでます。
ここでは攻撃側が少数に対し、上3方向から攻撃されるような形状です。

これが虎口です。

つづき・第13弾上矢作・前田砦にいこう!はこちら

第十二弾古城探検・山城の用語について再確認してみよう。


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