船底塗料とは?トップコートとの違いについて
Q:いつもお世話になりありがとうございます。
技術的なノウハウが非常につまった
とても参考にしているブログです。
さて、船底塗料というのがありますが、通常のトップコートと違いがあるのでしょうか?
もしかしたらと思い、質問させていただきました。
いつも応援しています。
A:いつもお世話になりありがとうございます。
また応援ありがとうございます。
これで利益を得ているわけではありませんので、お客さんのそういった声が一番うれしいです。
お役に立てているのがとても嬉しく思います。
さて、船底塗料ですが、結論を申し上げますと、トップコートと異なります。
船底塗料に求められるのはズバリ船の燃費です。
場合にもよりますが、この船底塗料によって燃費が12%程度変わるという文献もあるくらいです。
なぜそれだけ変わるのか。
ということなのですが、これは特殊なメカニズムがあります。
●加水分解
重要なキーワードとして加水分解があげられます。
たとえばポリウレタンを例にとりましょう。
ポリウレタンは分子結合が弱く、外部の影響に伴い変質する特徴があります。
影響を受け易いんですね。
例えば紫外線で黄変したり、そしてもう一つは、水分で分解してくる。という特徴があります。
建築用シーリング材でも、シリコンシーラントや変性シリコンは屋外にも使えますが、
ポリウレタン系シーリング剤は、下地オンリーです。
紫外線で秒速で劣化してしまうからです。
さて、加水分解により、酸とアルコールに分解されてしまいます。
このように、H2Oと反応することで分解する。これを加水分解といいます。
さて、船底塗料はこの加水分解の作用を応用しています。
船底にはいろいろな異物が付着します。
たとえばフジツボなどがつき、繁殖するとそれが水流抵抗となって燃費を著しくおとしてしまいます。
しかし水が触れている部分が反応して分解削れていけば、異物が理論上つかないということになります。
これが船底塗料のメカニズムです。
塗膜表面がヌルついているので、うなぎ塗料といわれています。
また、海域によって付着物が違うので、塗料が違うという特徴があります。
●トップコート
さて、一方でトップコートですが、こちらは分解しないような構成になっています。
イソフタル酸系トップコートについては水槽などでも使われるので、加水分解を起こしにくいです。
またベランダの防水トップコート保護層として使われるので、紫外線にも強くなっています。
オルソ系トップコートは熱変形点が約60度に対し、イソ系トップコートは約100度とかなり異なっており、全く違う物性であることがわかります。
FRP素材屋さんのトップコートはこのイソ系トップコートです。
ぜひ参考にしてみてくださいね。