針葉樹合板とFRP防水の相性について
Q:防水下地が針葉樹合板で抜け節、表層の剥がれなどがあります。
どのようにしたらよいでしょうか?
まぶちさんの見解を聞かせてください。
A:ものごとの解決には根本解決と対症療法があります。
1.風邪をひかないように普段から気を付けるのが根本解決
2.風邪をひいてから薬でなんとかするのが対症療法です。
コストがかかるのは、2番であり、
再発可能性が高いのは2番
修復しづらいのも2番です。
したがって根本解決をまず考える必要があります。
優先度は根本解決、しかる後に対症療法です。
現場では逆のケースがあまりにも多いのが現状です。
◎根本解決◎
大工さん、工務店さんにきちんと説明はできていますでしょうか?
防水の基礎知識として
防水層の厚みはわずか3ミリであり、合板の不陸などは防水層ではどうしようもない。
ということをきちんと説明する必要があります。
わずか数100円をケチってヒドイ合板を使い、一生モノの家の満足度が下がるのはとんでもなく非効率です。
工務店さん、大工さんに説明しましょう。
・めんどくさいんで、良い合板にしてよ。
文法は違えど、こんな言い方してませんか?
これでは一向に解決になりません。
言い回しはこういう方向性です。
・この合板の不陸で、他の現場で下地全面張替えになったり、
後でお施主さんから水たまりのクレームになることがありました。
と説明しましょう。
つまり大工さん、工務店さんのデメリットを説かなければ説得はできないでしょう。
さて、そうはいっても目前のトラブルをなんとかせねばなりません。
対症療法です。
◎対症療法◎
◎針葉樹合板とFRP防水の相性について
より引用
針葉樹は表面の凹凸がはっきりしており、FRPは付着しやすいのですが、節の部分が多々凹んでいるので、注意が必要です。
凹み部分はポリ・ウレタン系シーリング剤を充填して平滑にしておきます。
ポリ・ウレタンシーリング材は硬化する際に多少目減りするので、計算に入れるのがベストです。
※またはポリ/ウレタン収縮後の凹み面を樹脂リッチ【樹脂を多めにして凹み面が平らになるようにガラスマットを浮かせる】にしてガラスマットを意図的に浮かせると言う方法も。
端部などでビスを打ったところの合板が跳ね返って飛び出て来るのでFRPに浮きが出やすい下地です。
端部ビスによる浮きについては大工さんのクセみたいなものですのでしっかり説明しましょう。
※あまり端に打たないこと
※めり込み過ぎるとだめなので空気圧を調整してもらうこと
また針葉樹以外の合板では接着剤の種類に留意する必要があります。
接着剤が水に弱い尿素系(ユリア系)の場合、水分を含むと層間で剥離してくる可能性があります。
この場合は必ず水に強いフェノール、メラミン系の接着剤の合板に変えてもらいましょう。
またブルーシートなどの雨仕舞いが悪い場合もしっかりと説明しましょう。
合板の含水率は施工店ではどうしようもありません。
水分の含水率はFRP防水にとっては非常にまずい状況を引き起こします。
水分のブロック方法はポリウレタンシーラーです。
ポリウレタンシーラーの種類によってはこの含水率の水分揮発をとめにくいものもあります。
ちょっとのお金をケチって後からフクレが出ればその労力たるやとんでもないことになるので注意しましょう。
合板の層間剥離に関しては、現場にインパクトドライバと、コンパネビスを持ち込む必要がある場合もあります。(大工さんみたいですね。)
釘止めである程度は押さえが効きますが、トップ層のゆがみだけはいかんともしがたいです。
いずれにせよ、優秀な職人は最初の工程ほど気を使います。
トップコートを塗るのは最後ですが、この前までにすでに防水の品質というのは決まっていると言えるでしょう。
FRP素材屋さん馬渕