軟質樹脂の使い方
Q:FRPの軟質樹脂はどういった用途にしようされますか?
FRP防水以外にも用途はありますか?
A:いつもお世話になりありがとうございます。
FRPの防水樹脂は軟質を使用します。
これは大型製品を作る際、下地の動きがあるためです。
もし下地にピッチリとくっついており、かつ下地の合板同士がズレル可能性がある場合は、
硬質樹脂ですとクラックが入ったり破断して水漏れに繋がったりしてしまいます。
さて、軟質樹脂の用途ですが、
こうした伸び率を要求される場合ともう一つは振動がある場合への対応があります。
◎振動に対応する樹脂◎
振動に対応するというのはどういうことでしょうか?
物質が微振動を繰り返す場合は、硬いもの同士を合わせた場合、材間にストレスが産まれ、
破壊までが早くなります。
イメージとしては例えば自動車のウイングで、上下でタイヤキのように挟み込んで接着してある場合を想定しましょう。
車などは路面の状況を振動と言うかたちで車体に伝えています。
その振動がウイングにも伝わるわけで、このストレスが硬い樹脂同士で接合してある場合
割れにつながりますよね。
一方これが軟質のような柔らかい素材であればストレスを上手く緩和し、樹脂の長期耐久性はあがってくるはずです。
◎たわみに対応する樹脂◎
さて、一方で長い竿のようなものをイメージしましょう。
もしこの竿がガチガチの硬質であれば魚をつった瞬間に力はかかるものの、ポキっと折れやすくなると思います。
逆に柔らかい場合は、魚の動きに追従し結果的な耐久性は上がると思います。
強度というと硬いものが強いというイメージがありますが、工業製品などはそうではないのです。
製品にとって最適なバランスというのが非常に重要になってくるのですね。
もしお客さんが作りたい製品がこのような場合、迷わずこちらの軟質樹脂を購入した方が
良いと思います。
◎デメリット◎
軟質でかつ防水用樹脂を使うデメリットももちろん存在します。
一つは弱インパラという成形品として捉えると非常に中途半端なパラフィン含有率になります。
もう一つは、ダレドメフィラーの存在です。
壁面が多い防水工事用樹脂は樹脂が壁面からタレないようにタレドメが入っております。
このタレドメのお陰で粘性が高いのと、脱泡の泡が抜けにくいという問題があります。
一長一短を正しく知ることで正しい施工ができるようになるでしょう。
よろしくお願い致します。
FRP素材屋さん馬渕