熱湯をいれる小さいタンクの施工(食品工場)

Q:

 

食品加工工場内のコンクリート製排水マスにFRP防水を検討してます。
常に熱湯が流れるため、耐熱性の高い樹脂で施工が必要です。

排水マスは、500角程度の小さな物です。
プライマー、樹脂、トップコートの有無などどの材料を購入すればよろしいでしょうか?

 

A:

 

お問い合わせ頂き、ありがとうございました。 FRP素材屋さんサポートチームです。
食品加工工場内のコンクリート製排水マス(500角程度)にFRP防水を検討されており、特に熱湯が常に流れるため、耐熱性の高い樹脂での施工が必要とのことですね。適切な材料と施工方法についてご案内いたします。

 

使用量

使用量に関してはこちらのページをご利用ください。

FRP防水使用量計算シート

 

1. 推奨材料リスト

食品加工工場内の排水マスという環境を考慮し、耐熱性だけでなく、耐薬品性や衛生面にも配慮した材料を選定します。

1. プライマー(下地処理材)
◦ 製品名・種類: 湿気硬化型ポリウレタンシーラー。セメント(コンクリート)は水分を多く含み、アルカリ性を示すため、FRP樹脂との相性を良くし、アルカリ性を抑制し、下地からの水分の揮発をブロックするために必要です。

◦ 塗布量目安: 0.2kg/㎡程度。
◦ 製品例: 「ウレタン樹脂シーラー 1L」。

2. FRP樹脂(防水層形成材)
◦ 製品名・熱湯をいれるタンクの防水施工ですと、ビニルエステル樹脂が耐熱性(約100℃)と耐薬品性に優れており、防錆目的での鉄製タンクへの施工例もあります。熱湯の具体的な温度が不明な場合、より高温対応の超低収縮樹脂が安全策となります。
◦ 製品例: FRP素材屋さんビニルエステル樹脂

https://www.frpsozai.com/shopbrand/ct139/

3. ガラス繊維(補強材)

◦ 製品名・種類: ガラスマット #380または#450。FRP層の強度と防水性を確保します。

 

通常、防水には#380を2層敷きが推奨されますが、500角程度の小さなマスであれば#450を1層または#380を1~2層で十分な強度が得られる可能性があります。

4. 硬化剤

◦ 製品名・種類: FRP樹脂、ゲルコート、トップコート共通の硬化剤を使用します。
◦ 添加量目安: 樹脂量に対して1%~5%程度を添加しますが、作業時の気温(冬期は多めに)や樹脂の量に応じて調整が必要です。硬化剤の入れ忘れや混合不足は硬化不良の大きな原因となるため、正確な計量と十分な攪拌が不可欠です。
◦ 製品例: 「硬化剤定番 メポックス」。

5. 角部の処理材(シーリング材)

◦ 製品名・種類: ポリウレタン系シーリング材。排水マスの角はFRPが直角になじみにくいため、シーリング材を充填してR(丸み)をつける必要があります。これにより、ガラスマットの馴染みが良くなり、空気溜まり(膨れ)を防ぎます。
◦ 製品例: 「ポリウレタンシーリング剤 ノンブリードMAX320ml」。

6. トップコート(表面保護材)

◦ 製品名・種類: FRP層の保護と耐久性向上のために必要です。排水マスという用途では、耐摩耗性、耐薬品性、そして耐熱性が求められます。超低収縮樹脂との互換性があり、耐久性の高いトップコートを選定することが重要です。
◦ 塗布量目安: 0.4kg/㎡程度。
◦ 製品例: 一般的なFRPトップコートは「灰トップコート(イソ系高耐候性)」などがあります。耐熱100から110度です。

 

2. 施工手順

排水マスのFRP防水は、以下の手順で進めます。

1. 下地処理:
◦ コンクリート製排水マス内部を丁寧に清掃し、油分や汚れ、ゴミを完全に除去し、乾燥させます。
◦ 表面の不陸(凹凸)やバリがあれば、グラインダーやサンドペーパー(荒い番手#40など)で研磨して平滑にします。研磨粉は完全に除去してください。

2. 角部のR加工:
◦ マスの内側の入隅(内角)にポリウレタン系シーリング材を充填し、ガラスマットがなじみやすいようにR形状に整えます。これにより、ガラス繊維の反発や空気の巻き込みを防ぎます。

3. プライマー塗布:
◦ ポリウレタンシーラーを均一に薄く塗布します。厚塗りすると、表面は硬化しても内部が硬化しにくい「樹脂だまり」となり、硬化不良の原因となるため注意が必要です。
◦ 適切な塗布ローラー(中毛ローラー推奨)を使用し、約30分~60分で次工程に移れる状態になります。

4. ガラスマット+FRP樹脂積層:
◦ プライマーが完全に乾燥した後、ガラスマットをマスの形状に合わせて裁断します。小さなマス(500角程度)の場合、ガラスマットを細かくちぎって貼り付けると、シワや空気の巻き込みを防ぎやすくなります。
◦ 超低収縮樹脂に硬化剤を正確な割合(例: 1%前後)で混合し、塗布ローラーでガラスマットに含浸させながら塗っていきます。
◦ ガラスマットの繊維の間に空気が残らないよう、脱泡ローラー(豚毛ローラーやアルミローラー)で丁寧に脱泡します。この脱泡作業を徹底することで、膨れや強度低下を防ぎます。
◦ 必要な厚みと強度に応じて、この工程を繰り返してFRP層を形成します。

5. 中塗り(推奨):
◦ FRP層が完全に硬化した後、必要であれば樹脂にトップコートを少量混ぜた中塗りをします。これにより、ガラスマットの目を軽減し、FRP層とトップコートの密着性をさらに高めます。中塗り後も硬化を待って研磨することが推奨されます.

6. トップコート塗布:
◦ FRP層(または中塗り層)が完全に硬化・乾燥した後、トップコートに硬化剤を正確な割合で混合し、均一に塗布します。FRP用のトップコートは通常の塗料より膜厚が厚く、硬度が高いため、耐摩耗性に優れます。

3. その他の注意点

• 換気: 樹脂や溶剤を使用する際は、作業中の十分な換気を行い、火気厳禁としてください。
• 硬化剤の正確な計量: 硬化剤の量が多すぎると急激な発熱や収縮、黄変の原因となり、少なすぎると硬化不良の原因となります。
• 温度管理: 硬化時間は気温に大きく左右されます。低温下では硬化が遅くなるため、必要に応じて作業場所の温度を確保したり、硬化剤の量を調整したりする必要があります。
• 樹脂の保管: 樹脂は生ものと同様に鮮度が重要です。長期保存は物性低下の原因となるため、必要量を適切に購入し、冷暗所で保管してください。

 

お問い合わせ頂き、ありがとうございました。

 

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