模型ヨット・モールドの離型に失敗した!ウレタン塗料ごと剥がれました。なぜでしょうか?
Q:以前頂いたポリエステル樹脂や、先日頂いたゲルコートなどを用いて模型ヨットのモールドを作ろうとして離型に失敗してしまいました。
木で雄型を作り、パテ→サーフェイサー→2液ウレタンペイントで仕上げた雄型に、信越シリコーンのシリコーン離型剤『RELEASE』をスプレーしてからウエスで拭いて、黒色ゲルコートを塗ってポリエステル樹脂で7層450g/㎡のチョップドストランドマットを積層してから離型しようとしたのですが完全に2液ウレタンペイント面と黒色ゲルコート面がひっついてしまって離型できず添付写真のように雄型を破壊してしまいました。
モールドを傷めてしまったのでゲルコートにQ-CELを入れ、アエロジルを少し加えて傷めてしまった部分を修正しようと思うのですが、ゲルコートとQ-SELとアエロジルは入れて黒い研ぎやすいパテとして使って大丈夫でしょうか?
また、離型剤としてボーンリースワックスを購入して使用して、PVAも使おうと思っているのですが、ワックスを何度も塗らないといけないということはわかったのですが、PVAも何度も塗るものなのでしょうか?
また御社でもKF96SPというシリコンスプレーを販売していますが、『RELEASE』との違いは何でしょうか?シリコンスプレーはスプレー後にウエスで拭いてはダメだったのでしょうか?
ワックス×PVAとシリコーンスプレーであれば離型するのに適しているのはどちらでしょうか?
どうぞよろしくお願いします。
疑問が解決すればQ-SELとボーンリースワックスとPVAとサーフェイスマットを御社ネットで注 文させていただきます。
A:FRP素材屋さん馬渕です。
○○様いつもお世話になりありがとうございます。
◎塗膜面
◎離型処理面
の2つから回答します。
◎1塗膜面
スプレーのReleaseについて詳しくは詳しくは購入販売店に聞いていただきたいですが、
KSー707同等とあり、どうもトルエンを含有しているような素材のため、純粋なシリコーン離型剤とは違うと考えられます。
2液ウレタンペイントの上にトルエンですと、この強い溶剤で、もしかしたら塗膜を溶かした可能性も考えられます。
また離型材といってもゲルコートの離型にスプレータイプだけでは離型は非常に厳しいといえます。
通常離型処理の型にはゲルコートを使用します。
理由は離型時には相当な引張厚がかかるため高い物性と厚みが要求されるからです。
1.ゲルコートは耐溶剤性に優れるため今回のような溶剤分による膨潤、含浸を抑えることができます。
2.ゲルコートは膜厚が確保できるため引張強度に十分耐えることができます。
以上の理由からです。
今回の不具合は
塗膜の選択
離型処理の選択
という2つの選択の方法によるものと考えられます。
※あくまで可能性です。原因には様々な複合要因も想定されますので、この限りではありませんことご理解ください。
※あくまで可能性です。原因には様々な複合要因も想定されますので、この限りではありませんことご理解ください。
◎2離型処理面
離型処理についてはワックスは数回
PVAは1回塗りです。
KF96SPについてはシリコン型とFRPとの離型などに使用するものですので、今回の離型には使用しません。
今回のケースですとゲルコート面にワックス数回、PVAというような離型処理をすれば全く問題はないと思います。
Qcelについて
Qcelガラスバルーンは、バルーン、つまり風船状になっております。
今回これを混ぜてゲルコートを作るということでしたが、塗布後研磨すると
表面上にスポンジ状のスアナが大量にできることになります。
ここに成形品のゲルコートなどが入ると、アンカー効果による物理的接着(レゴブロックのような接着)になりますので、
再度型を壊すケースにもなりかねません。あまり適していないといえます。
型については強度が重視されますので、ゲルコート原液もしくはタルクなど比重の高い物が適しているといえます。
成形品については後工程で処理すればよいので研ぎやすい軽比重のQcelでもアエロジルでも構いません。
詳しくはFRP素材屋さんの日記に各データベース化されておりますのでご覧ください。
質問ワードによる検索が使いやすいようです。
http://frp.blog.jp/
※後学のため、質問データベースとして活用させていただきます。ご了承ください。