【#4/4】工作機械博物館に行こう!!ヤマザキマザックの強みとは?
さて、いよいよ今回で最後になりますが、工作機械博物館へいこう。
そして私が今回の目的にしていた、工場見学。
初回【#1/4】はこちら
【#1/4】工作機械博物館に行こう!!ヤマザキマザックの強みとは?
いったいどんな加工をしているのでしょうか?
MAZAKのレーザー加工機です。
最厚22mmもの鋼板を抜いていきます。
個人的に気になったのは、このパネルです。
非常に大型でタッチパネル式になっています。
ボタンが多いのですが、全てイラストが書いてあり、直感的に操作しやすくなっていると思います。
このあたりの設計思想を聞いてみたかったのですが私一人しかいないのでジロジロ眺めて終了。
MAZAKのオプティレックス3015DDL 4.0です。
おそらく最終ここに展示してあるということは、非常に高度な加工ができる上位機種なのではないかと思います。
Gコードプログラム
内部の機械はGコードというプログラムで動いています。
工作機械の動きはどのように制御されているのでしょうか。
その鍵はサーボモーターにあります。
ざっくり言えば、X150、Y205と指示します。
これがGコード。
と指示すると、X,Yのモーターが205の150の位置まで正確に回転して動く。
サーボモーターは回転数と回転角度を指定することができるのです。
この仕組をつかって、回転数を制御し位値を制御しているのです。
これがGコードの仕組みです。
しかしこのコーディングが面倒なのと、人間がやると間違えるのですが、
私も平安鉄工の名機、ER231PでなんどかGコードプログラムを書きました。
しかし、夏休みの宿題も前日の夜じゃなくて、当日の朝やるくらい、やる男じゃないですか。
単純な四則演算ですら結構な確率でエラー起こすほど、やる男じゃないですか。
もうintelでいったらATOMくらいの性能なわけじゃないですか。
単純な計算ですら頭が猛烈に熱持つんですよ。
(なんつう低性能だバカッツ❢❢❢)
つまりね、
私が書いたGコードなんて危なくて触れないわけなんですよ。
MAZAKのマザトロールはこうした工場の痛みを解決すべく
対話型にすることで
だれでも簡単に早く、間違えなくできるようにした。
マザトロールという仕組みがとても秀逸なようです。
※間違っていたらご指摘ください。
工場見学
さて、私がここにきた本来の目的は、地下2Fの工作機械博物館・・・・・
ではなく、実は地下1Fの自動工場の方です。
そちらは撮影禁止で情報がテキストのみになります。
まずは入り口の工作機械の製造方法についてビデオを見ます。
もちろん自社の機械を使って加工を行います。
インテグレックス(複合加工機)やヴァリアクシズ・ボルテックス(マシニングセンタ)といった機種については大きな構造として以下の構造に分かれます。
1.ワークを加工する【台座】人間でいう腰にあたります。
2.タテ面の構造材、柱である【コラム】人間で言う背骨にあたります。
3.回転する【主軸】人間で言う手にあたります。
4.機械の土台である【ベース】人間で言う脚にあたります。
にわかれます。
駆動を行うボールネジは真っ赤になるまで熱処理をかけ、超精度で研磨していきます。
表面に焼入れ処理を行い、内部は靭性を持たせる処理によりボールネジ表層に硬い岩盤膜を形成します。
主軸はゴミが全くない、クリーンルーム、そのクリーンルーム内で職人さんの手で一本一本組み立てられています。
クリーンルームは通常内圧をかけます。
常時気圧を高くすることで異物の混入を防ぐわけです。
土台であるベースは最大10トンにもなる超重量でこれを巨大な反転機で裏返しながら両面を研削加工していきます。
台座、コラムなどは、鋼材をドロドロに溶かしそれを巨大な鋳物型に入れ鋳造して作ります。
自動工場の様子
さて、MAZAKの本によるとすでに20年も前から自動化工場をすすめており、イギリスから補助金を半分だしてでもいいから
国内に工場をたててほしいと言われた最新鋭工場です。
工場内は基本ホワイトで、箱型のマシニングセンタがまるで街のように並んでいます。
まったく稼働していない。とおもったほど静かな工場です。
人は誰もいませんでした。
シグナルをよく見ると、グリーンに点灯しており、時折マシニングセンタの上のレールが動いています。
つまりマシニングセンタはそこに鎮座しながら自動で加工を行っているということです。
あまりの静かさに動いていないと勘違いしてしまった・・・ということです。
やがて時折台車をもった工場の作業の方が一人二人動くのみでほとんどだれもいない工場は静かに稼働をしていました。
また地下1Fから地下2Fの工場を見るわけですが、1Fはガラス貼りであり、工場の内部の様子を伝えるモニタや、モニタに各種のシグナルがでており、
近未来的な感覚がしました。
地上にでると太陽が透明なピラミッドをてらしていました。
売店があり、そこにはクイックターンのプラモデルが販売されていました。
ファインモールド社です。
ゼロ戦とかのプラモデルメーカーだったと記憶しています。
そこで見ていると館長さんがやってきて話しかけてくれました。
【MAZAKの本を見たんですね。】
かなり珍しいからなのか、話かけていただきました。
すごいオーラをもつ館長さんでしたが、勇気をだして聴きたい質問をいくつかぶつけました。
”ワークサイズはどのくらいなのですか?”
”ワークサイズは200mmです。この機種に200MYとあり、この200がワークサイズです。”
”この円形のものはなんですか?”
”これはターレットで、刃物を交換するものになります。”
”この機械は箱に入っていますが、実際のワークに対してこれだけ左側が広いのはなぜですか?”
”この左側、こここそ、この機械の心臓部になります。そのためこれだけのスペースが必要ということになります。”
”古い旋盤だと水平の台に乗ってますが、この盤が斜めになっているのはなぜですか?”
”これは斜めにすることで剛性がアップするという意味です。”
”なるほど確かに三角形にすることで剛性はアップしそうですね!!”
”そういうことです。”
”この美濃加茂工場ではどういった機械を作っているのでしょうか?”
”この美濃加茂工場では、まさにインテグレックスなどどちらかというと高度な機械を制作しています。”
”なるほど・・・繊維などの機械は海外に移転しすぎて技術が流出してしまったと聞きます。そういったいみでしょうか。”
”そういうことです。”
早くから海外へ移転していたこのMAZAK社ですが、海外へ技術が移転しないようにコア技術をこちらに集約している。
すごい企業だとあらためて思いました。
”さっき動画でベース10トンとありましたが、この機械(クイックターン)はどのくらいなのですか?”
”ざっと2トンです。”
”えっ10トンではないのですか?”
”この機械はそれほど重くありません。そういったものもある。という意味です。”
”価格はどのくらいなのですか?”
”ざっと2,000万といったところでしょうか。”
”なるほど!!高いですが、これだけの高機能なら納得ですね。”
と他にも色々質問をしました。
MAZAK工場の進化
インテグレックスは2019年にAIを搭載しており、自動でプログラムを生成してくれるようになりました。
2014年には、AM機能が搭載されました。
これは金属積層型の成形方法であり、既存のモノを削り出すから、積層して作り出す方式へも展開を図っています。
具体的には3Dプリンターのようなイメージです。
戦前自社では開発できず、リビルド業、修理業からスタートした山崎鉄工所、
その山崎鉄工所を世界のヤマザキマザック
その成長の源泉と、そして今後の方向性を見極めようと工作機械博物館および工場見学をしました。
しかしながら私のレベルでは到底その深淵までもぐることはできませんでした。
ただ、最先端の工作機械でも最初の一歩は修理業であり、リビルド業であったこと。
アメリカの下請けを脱却せねば未来はないと、自分たちの一歩を踏み出したこと。
開明的な経営者と、機械を愛する社員さんたちの力によってすこしづつ成長してきた。
というのがわかっただけでも大きな収穫であったと思います。
中国製造2025でたとえ中国が世界の覇権をねらおうとも、
日本はデジタル化がすすんでない。といわれようとも
まだ日本企業は強い。と私個人的には思いました。
決して負けなんかいない、最先端を走り続けている。
そう思いました。
とても貴重な体験をできる素晴らしい工作機械博物館そして工場見学体験でした。
ヤマザキマザックの工作機械がなぜか大好きになりました。
未来の子どもたちのために
これを作りたかった山崎照幸氏その意識をうけついだ、智久氏の熱い想いがこの工作機械博物館にはたしかにある。
とおもいました。
これからも素晴らしいものづくりで日本を支えていって頂きたいと思います。
対応していただいた多くのみなさんに感謝をしたいと思います。
ありがとうございました。