Q:FRP樹脂が硬化しない・固まらないのは?
他店で購入したFRP樹脂が硬化しないのですが、なぜでしょうか?
A:基本的に責任の所在が異なりますので、他店様に確認を取っていただきたいのですが、一般論としてお答えします。
硬化しない原因についてはいくつか考えられます。
まずFRP樹脂の硬化のメカニズムを知ることが大切です。
樹脂中のコバルトと硬化剤の成分が反応して熱反応を起こし、
主材である樹脂を硬化させます。
つまりFRPの硬化においていちばん大切なのは熱という事になります。
従いまして、今回固まらなかったのは硬化に必要な熱がなかったと考えられます。
◎硬化剤に起因する問題
FRP樹脂を固める硬化剤は量を増やすほど早く固まります。
ということは硬化剤の量が少ないと硬化時間が長くなる
もしくは固まらないと言う事が言えます。
硬化剤の量が足らないケース
樹脂に対する硬化剤の量は0.5%-5%の範囲です。
これは樹脂1kgに対して硬化剤5gから50gの量です。
つまり範囲内で外部環境に応じて適切な量をチョイスしないといけません。
これがずれると硬化時間が極端に遅くなったりすることがあります。
ポイント1
きちんと硬化剤の量はあっていますか?
◎樹脂に起因する問題
樹脂の季節型が違うケース
樹脂には季節性があり、夏用の樹脂は硬化時間が遅くなるよう調整されています。
逆に冬用樹脂は硬化時間が早くなるよう調整されています。
そのため使用樹脂が夏用で、冬期に硬化させようとしてもなかなか硬化しない場合があります。
夏用樹脂は冬期に硬化しづらい
多少はずれても問題はありませんが、夏と冬が逆転するとよくありません。
樹脂の種類が違うケース
樹脂にあった硬化剤をチョイスする必要があります。これが店舗をまたいで購入しないほうがよい理由となります。
FRP素材屋さんでは、樹脂、トップコート、ゲルコート、ホワイトパテ、各種高機能樹脂、スチロール用樹脂などの主材と硬化剤を合わせてあります。
ポイント2
樹脂の季節型はあってますか?
◎外的環境の問題
FRP樹脂は外気温によって硬化速度が変わります。
先程熱量の話をしましたが、暑いほうが早く硬化します。
大きな影響としては気温が考えられますが、その他各種影響が考えられます。
気温が低い・・・気温が低いと硬化時間が極端に伸びる傾向があります。
下地の材質・・・下地が硬化熱を奪うような素材だと硬化が遅くなります。
下地の温度・・・夏場で暖められた鉄板などは当然硬化が早くなります。
湿度が高い・・・湿度が高いと硬化時間が変わるまたは硬化不良の原因となることがあります。
風の有無・・・風の有無で硬化時間が早く成ることがあります。
水槽などの底部・・・水槽など密閉空間の底部では、透明なスチレンガスが滞留し、硬化不良を起こすことがあります。
下地の材質・・・シリコーンシーラントなどの上部で、FRP樹脂が硬化しないケースがあります。シリコーン中の成分や、可塑剤(かそざい)がFRPに移行し硬化を妨げていると思われます。
ポイント3
外的諸条件に問題はありませんか?
◎表層未硬化の問題
樹脂のタイプによっては表層だけ固まらない物があります。
樹脂にはノンパラフィン樹脂というパラフィンが入っていない物があります。
パラフィンワックスの有無・・・ノンパラ(フィン)樹脂だと表層はいつまでも硬化しません。
パラフィンワックスの種類・・・パラフィンワックスの季節型によっては表層が未硬化になる場合があります。パラフィンワックスは必ず季節にあった型を用意してください。FRP素材屋さんでは通年タイプを使用しています。
ノンパラフィン樹脂ではありませんか?
ポイント5
スチレンガスの滞留ではありませんか?
スチレンガスの滞留・・・スチレンガスが滞留しやすいと未硬化になります。
水槽、箱物の底部でスチレンガスが滞留していませんか?空気入れ替えをしましたか?
ポイント6
湿度は高すぎではありませんか?
湿度の問題・・・湿度が高すぎると表層の硬化が促進されない場合があります。
つまりこれだけの要因があるので、いちがいに言えないケースが多いのです。
ポイント7
樹脂、硬化材の鮮度は適切ですか?
樹脂には季節型、硬化材には反応性で鮮度があります。
そのため種類があっていないと反応ができなかったり極端に遅くなる可能性もあります。
あらかじめご理解ください。
FRP
最後にFRPの硬化剤の添加量ですが、
一例をあげます。
◎季節参考例
1月 3%
2月 3%
3月 3%
4月 2%
5月 1%
6月 1%
7月 0.5%
8月 0.5%
9月 1%
10月 1%
11月 2%
12月 3%
◎温度参考例
気温25℃硬化剤1% 硬化時間30分(ゲル化開始タイム)
気温10℃硬化剤1% 硬化時間70分(ゲル化開始タイム)
※あくまで一例です。
参考にして見てくださいね。
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外気温30°以上晴天です。
もし塗ってしまったのであれば、再度硬化剤をやや多めに入れた樹脂をよくカクハンしてつくっていただき、既存の樹脂と混ぜるようにして塗っていただくことで改善する可能性があります。