失われた技術・プライマーとシーラーの違い
ケイカル板を中心とした不燃建材は特に石膏ボードが圧倒的に有名です。
ただ、石膏ボードは水に弱いという決定的な弱点があるため、おもに内装用の下地として使われています。
水に弱く、脆いので両側に紙が貼ってあるのですね・・・
さて、ケイカル板ですが、このケイカル板は数年前まで不遇を託っていたようです。
というのは不燃建材であるダイライトが登場したからです。
弊社が取引き有った突き板のメーカーさんでもケイカル板から一時このダイライトに一斉に変わったことがありました。
ダイライトは見た目は普通の木質繊維版のようで火山性ガラス質原料を使った物です。
比重0.7と圧倒的に軽く、加工性も良いので(繊維質が入っているので加工時チクチクはあります。)
バッと広がりました。
それに伴い、従来のケイカル板の加工屋さんが減ってしまったようです。
現在はダイライトの不燃認定の難しさ?の問題などでケイカル板に戻ってきたようです。
ただ、戻ってきたのはいいのですが、加工工場が無くなってしまったのです。
私が知る限りでもこのひろい中部圏内で数社しかしりません。
今日本中でこういったニッチな技術工場がなくなりつつあるようです。
特にこのケイカル板に貼ったり、塗装したりという技術はほんの一握りの会社を除いてここ十数年で全く失われてしまったようです。
カッコ良く言えば
”ロスト テクノロジー”
ですね。
実際塗装や貼りに関しては一連の技術の中で
とくにシーラーの部分で技術が失われてしまったようです。
カッコ良く言えば
”ミッシング リンク”
ですね。
シーラーとプライマーの違いを知る必要があると思います。
平たく言えばシーラーは含浸する物。プライマーは造膜する物。と言えるとおもいます。
もしコレにシートなり塗装なりをして剥がれるのであればそれはシーラーもしくはプライマーの選定に問題があると言わざるをえません。
まずシーラーは浸透性のウレタンが良く使われます。
下地に染みこみ密着を助けます。また下地のアルカリ質をブロックする約割を果たします。
しかしながら下地の造膜や固形効果が足りないがために、熱による下地からの気泡ブロック、水分含浸、可塑剤の移行や下地のファンデーション効果を期待することが出来ません。
さらにMDI系のウレタンの生原料を使っているので、紫外線による黄変が激しい難点を持っています。
化粧板によっては下地の黄色が見えてしまうと言う欠点もあります。
浸透性が良いので、
あくまで下地がすでに硬い素材に適していると言えます。
不燃材では比重値の高いフレキシブルボードです。
次に造膜型のプライマーですが、
これは上に膜を作って表面を固めるものです。さらにファンデーションのように表面をツルツルにする効果もあります。
湿気硬化型ウレタンを用い、短時間で表面に膜を作ります。梅雨時のような高温多湿時には非常に使い勝手が良いです。
臭いがきついのと機械損耗度が高いのが難点です。
同じ造膜型でも水系や無溶剤系の物も出ています。
基本的にはウレタンの湿気硬化型です。
空気中の水分と反応し、強度が出る物です。
造膜型の約割は
1.素地強化
2.表面のファンデーション硬化
3.接着力強化
4.アルカリ止め
といういくつかの効能を持っています。
注意すべき点は高温多湿が過ぎるとウレタンの反応が進みすぎ、ピンホールのような穴がいくつも空いてしまうことです。
ホットホールと勝手に呼んでいますが、造膜型プライマーを打ったのに下地から異常が出てきたのならばここを疑うべきであると思います。
適しているのは素地が柔らかいケイカル板やサンディング目がある研磨品のケイカル板です。
主に化粧板用途ではこちらの方が適していると言えます。
また弊社でダイノックなど粘着シートなどの下地材料については表面がフラットになる必要があるので、造膜型を使用します。
適切な選定が行われないと確実にクレームに発展するので非常に恐ろしいところもあるのです。
これは不燃建材のみでなく、木質系も樹脂系もそれぞれ適切なプライマーを選定する方法があると言うことですね。
プライマーシーラーなどで困ったときはトマト工業株式会社まで
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失われた技術”
面白いですね。
金工の世界でも最近は良くあるケースです。
かなしくなったものです・・・
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ありがとうございます!
市場が小さくても確かにそこにある技術は大切ですよね。
そういった技術の塊が世界の中の日本を支えているんだなぁ・・・と思いました。
金工の世界の技術というものは細かい細工などとてもおもしろそうですね!
製造業にとって本当にむずかしい時代ですが、何とか乗り切っていきたいです!