FRP防水層の破断について
Q:内容 : 素材屋さんの防水用FRP樹脂をいつも使わせてもらってます。
台湾樹脂になりますが、冬場は、問題無いのですがここ最近ライニング後すぐに下地材の継ぎ目でFRPが割れてきます。
下地処理の時に、台湾樹脂で作ったタルクで継ぎ目のパテ処理を行い2プライライニングしてますが
硬化剤の量は、気温27度で0.8%です。
下地の状況はコンパネ+センチュリーボードの二重張りで継ぎ目をずらして貼ってます。
軟質樹脂なのに原因が分かりません。他の防水屋で同じ台湾樹脂を使ってこの時期にクラックが入ったりの報告ありますか?
軟質樹脂なのに原因が分かりません。他の防水屋で同じ台湾樹脂を使ってこの時期にクラックが入ったりの報告ありますか?
A:いつもお世話になりありがとうございます。
FRP素材屋さん馬渕です。
結論からいいますと、樹脂は国産の防水樹脂に買えても良いですが、本質的な改善ではないです。
クラックの問題は、ほとんどが前工程の問題であり、樹脂の影響は僅かであるからです。
○防水層について
FRP防水層自体は0.8mmー1.0mm、2PLYでも1.5-2.0mm(トップコートを入れるともう少し厚くなりますが)程度です。
家の躯体の動きというのは相当の力がかかります。
このわずか数ミリのFRP防水層のみでこれをもたせようとすると相当無理があります。
本来で言えば、大工工事など前工程で問題をつぶしていく必要があります。
※工務店さんの問題にあるケースが圧倒的です。
目地のクラックに対する方法としては、
目地にマスキングテープをはり、強制的に絶縁させる方法
強制絶縁法
※ただし対症療法で、マスキングテープの幅の分だけ浮きやすくなり別のクレームになる可能性があります。
実験をしたエビデンスは有りませんが、この施工方法に変更したところによる不具合は一件もありません。
また下地用ウレタンシーリングをやや目地幅おおめに入れる。
という方法もあります。
両方とも同じ理屈です。
理論としましては、幅が1mmだったとしますと、その1mmに目地のズレによる応力がかかります。
理論としましては、幅が1mmだったとしますと、その1mmに目地のズレによる応力がかかります。
センチュリーボードにバチバチにFRPが密着していますと、1mmの間にすべての変形のストレスが集中し破断につながります。
そのため、目地幅をかりに5mmに増やすことができれば、その間で応力を吸収できるので破断しにくくなるという理論になります。例えば材料破壊しやすい軽量のケイ酸カルシウム板ではこの破断不具合は出ていません。破断する前に下地が破壊されるからです。
○センチュリーボードについて
建材ボードの寸法変化率
例えば下地の耐火野地板、ケイ酸カルシウム板、フレキシブルボードなどの寸法変化率について考慮されているケースはほとんどありません。
ご使用のボードの寸法変化率については記載がありませんが、おそらく0.2%前後ではないかと推察されます。
例として、寸法変化率0.2%とあれば、ボード長手方向で3.6mmのズレ(3Mの長尺ものですと、なんと6.0mmものズレ)が生じるという計算になります。
※実際はここまで寸法変化はありませんが・・・
動くことを前提にすれば、目地幅を若干ですが、大きく取ることくらいしか防水側でできることはないかと思います。
合板などですと、ある程度表層が材破することで伸びを緩和するケースがありますが、センチュリーボードの場合、表層のゴツゴツにFRPが食い込み
かつ、表層が材破しにくい極めて硬質な岩盤層を持ちます。
こういった条件が合致すると防水層が下地に完全密着するがゆえに破断しやすくなってしまうと推察されます。
いずれにしましても、わずか1-2mmの防水層にできることは少なく、前工程に問題があるケースが多いです。
とはいえ、工法を変えにくい場合が往々にしてあろうかと思います。
現場の長たる監督さんにやり方を変更してもらうのはある種【理想論】であるからです。
現場の長たる監督さんにやり方を変更してもらうのはある種【理想論】であるからです。
また、コストの観点、工法の観点、設計の観点、他職(大工、サッシ、サイディングなど)の観点など様々な要素が絡み合っているため簡単に変更ができないケースが多いです。
そのため実務上はなぜ起こるのかという真因をきちんと認識しておくことが自衛のため重要になります。
そのため実務上はなぜ起こるのかという真因をきちんと認識しておくことが自衛のため重要になります。
対症療法にはなりますが、上記のように目地を工夫する、目地部だけPLY数を上げるなどの方法が必要となります。
絶縁させるという意味だけでいえば、硬質のパテよりはウレタンシーリング材などが適していると考えられます。動きがあった場合、ウレタン層が剥離することで破断を防ぐからです。またウレタンコーキング剤は伸縮率が極めて高く、バッファの役割を果たします。
※マスキングテープのように目地幅を多く摂るですと破断は少なくなるものの、防水層に直線のラインが入りますので、ご注意ください。
工務店さんへの工法変更の方法は
監督さんに対しては
・将来、施主さんからのクレームがなくなるのでこういった方向性ですとよりクレームの可能性が少なくなります。
と伝えると工法変更、材質変更により効果的かと思います。
すべての情報を頂いておりませんし、現場を見てもおりませんので一般論としてご理解ください。
以上どうぞよろしくお願いいたします。今後YOUTUBEチャンネル連日工作では、こうした実地の暗黙知をデータに落とし込む実験を検討しています。無料配信ですので、ぜひチャンネル登録をしてください。よろしくお願い致します。
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