FRP防水作業においてやってはならない○○○のこと
Q:馬渕さんこんにちは。
当方(FRP防水の)現場に入ることがあるのですが、だいたい一般的な職人さんはどのくらいの㎡数を一日でこなすものでしょうか?
また当方塗装屋のためFRP防水での作業時間短縮方法について教えていただけないでしょうか。
よろしくお願い致します。
A:いつもお世話になりありがとうございます。
まず㎡ですが、私が施工していたときは20㎡のベランダが一日の最大施工面積でした。
下地にもよりますが、かなりきつかったのを覚えています。(連日はできないほど)
プライ数が1プライであればそんなに大変でもないのですが、380番の2層で、中塗りもいれていますので、防水層としては相当しっかりしたものだと思います。
ムダ取りを繰り返してこれなので
おそらく標準的な仕様ではこれが限界になると思います。
(1級防水施工技能士、県で数名の優秀施工技能士です。)
さて、時間短縮ですが、
今回非常に長文になるので2回に分けたいと思っております。
まず時間短縮のまえに、やってはならない時間短縮というテーマでお話します。
作業短縮は実は簡単です。
しかしやってはならない方法があります。
理由とともに述べていきたいと思います。
以下は行っては行けない方法です。
○立ち上がりプライ数を減らす。
立ち上がり1ply
これは平面は2plyの2層とし、立面のみ1層とするものです。
もし図面に2plyという規定があるならそれは守るべきでしょう。
○樹脂を希釈する。
樹脂をアセトンで希釈する職人さんがいます。
こうすることで粘性が一気にさがり、ガラスマットに浸透しやすくなります。
見かけ上作業がものすごく早くなります。
問題としては硬化が早いと、樹脂中にアセトンが入り込みそれが揮発しようとして浮き上がりピンホールを作ることです。
防水層にピンホールができるということは非常にまずいことはおわかりいただけると思います。
もしどうしても希釈せねばならない場合においてはスチレンの方がまだ良いと思います。
○研磨を省く
研磨というのは、サンドペーパーで下地をゴリゴリ削る工程です。
レベルの高い職人ほどこの工程を大事にします。
これは確実です。
逆にいうと、レベルの低い職人ほどこの工程を軽視すると言いかえることができます。
なぜか、理由は大変なこと。と、地味なこと。からです。
削る工程というのは2種あります。
下地と中塗り後です。
○下地
サイディング下地、窯業系下地の一部には、エマルジョン系の塗装がかかっているものがあります。
この塗装に対し、強溶剤で上からかぶせると樹脂の収縮でエマルジョン塗装と下地部が滑ってシワになります。
そのため素材によっては全研磨する必要があります。経験上、全剥離は難しいので、部分研磨でも行ける可能性があります。何割削ったらいいのか?という問題については素材にもよりますし、ケースバイケースですので、個別にてご質問ください。
○中塗り後
中塗りの際にトップコートを数割前後まぜて塗ると、色付きの樹脂層ができます。
トップコートというのは非常に硬い膜ですが、樹脂層は下地に追従できるよう柔軟性があるので、このギャップで剥がれやすくなります。
中間層に両方と相性がよい素材をまぜることでバッファとなり剥離の可能性がぐっと下がります。
トップコートが剥がれた現場をたくさんみて修理してきたのですが、そのほとんどすべてに中塗り層がありませんでした。
中塗りの役割として
またガラスの網目を消してきれいになること。
室外機その他で引っ掻いてトップが剥がれても直ちに防水そうの劣化、クレームになりにくいことから
なにげに非常に重要な工程です。