【角ガイドとリニアガイドの違いとは?】NCルーターに使用される角型滑りガイドとLMガイドの違いについて

さてみなさまこんにちは

まぶちでございます。

明日からいよいよ工場参観日

一般の方々に工場を開放する関市主催のイベントです。

今日は工場を案内するにあたり、

それぞれの機械についてよりディープに解説していきたいと思います。

マリアナ海溝くらい深い話をしていきたいと思います。

LMガイドと角型摺動面・リニアガイドと角ガイド

結論から言いますと、角ガイドとリニアガイドは

角ガイド

耐久性○高速動作性▲精度○コスト▲

リニアガイド

耐久性▲高速動作性○精度▲コスト○

といった違いがあります。

詳しく説明していきます。

ものづくりをしている工作機械

工作機械はざくっとこんな感じで動いてます。

先にご説明したように、LMガイドは動きの案内をする重要なパーツです。

ボールねじのように回転、直線駆動はしないのですが、盤を案内をするようなイメージですね。

ここがふらつくと、機械精度がでなかったり、故障がでたりと良いことがありません。

日本トムソン:リニアウェイ

つまり工作機械の精度と耐久性に大きく影響を及ぼすのが、このレール、案内になります。

さて、案内については最も広く普及しているのが、LMガイド、通称リニアガイドになります。

直線の滑りで動いて要るように見えますが、
実は内部のブロックには、タマが入っており、これが転がることで動きが軽くなるということです。

直線版ベアリングみたいなイメージですね。

日本の機械はなぜ耐久性が高いのか?

さて、トマト工業でも使用しているNCルーター、平安鉄工のER-231Pです。

こちらの機械、実はまだまだ現役で動いている木工所がたくさんあります。

とんでもなく高剛性で、故障が少ない機械なのですが、

なぜそんなにも高剛性で耐久性が高いのか。

その理由の核心が実は、摺動面にあったのです。

金属加工マシニングセンタでおなじみの制御、

FANUC(モーター)で動く機械はたくさんあるのですが、

現役で何十年と動き続けるのは、どちらかというと制御よりも

機械側の方が先にへたってきます。

しかしこのER231Pに代表される日本の木工機械は非常に頑健な創りをしているのです。

移動こそ、毎分8mと物足りなさがありますが、とにかく故障が少ない。

摺動面をよく見ると角型のブロックがあります。これが案内の役目を果たしているのです。
角スライドです。

この角型ブロックは、角型摺動面といわれる材料を使用しています。

純粋なグリスの滑りでスライドさせています。

製法は

①高周波焼入れ

高周波焼入れは表面にコイルをまいて表層のみ焼入れをするものです。

表層のみ焼入れをするメリットは、

焼入れで硬くなると靭性が落ちます。

クッキーが割れやすいのと同じですね。


で、全体を柔らかくするのではなく、表層だけ固めることで、内部に靭性を保ちながらも表層に硬度層を持たす。

ということです。

焼入れはめちゃめちゃ奥が深いので、まだまだ学習しきれていません。マルテンサイトとかオーステナイトとか言われると、

ラリホーかけられたくらい秒速で失神します。

②研削加工

熱をかけると変形しますので、焼入れしたものを研削加工します。

研削加工は、切削加工よりも精密な、精度重視の加工です。

③きさげ加工

この後、きさげ加工をして最後に機械ができない平滑面仕上げ

超精度仕上げを行います。

最新のマシニングによる研磨研削加工でもできない超精度仕上げきさげ加工。

それは果たしてどんな加工なのでしょうか。

このキサゲ加工はなんと手作業なのです。

スクレーパーとよばれる簡単な工具を使って平面を作るのです。

キサゲ加工の良さは、熱を産まないので材料の変形がなく超精度の加工ができます。

職人の手によって平滑にされた面は綺麗なパターンを描きます。

このキサゲ面とよばれる凹部分に油が入り、すべりとして機能するというものです。

機械ができない領域を人間の手によって行う。

まさに職人芸なのです。

結局最後は、人間の手によって超精度が保たれている。

これがとても機械加工の面白いところだと思います。

LMガイドについても、日本製と海外製は耐久性に違いがあります。

海外のLMガイドと当初同じように使用していました。

しかし今では海外製がサビサビになり、日本製はピカピカのままです。

日本のものづくり

今、中国がいろんな機械を作ってきています。

初期コストはダントツに安くかついろんな便利機能がついています。

しかし我々ユーザーとしては、

減価償却年数を超えて何年も使い続けられる頑健な機械こそ本当に価値があると思います。

みなさんもAMAZONで買った怪しい中国製がしばらくたつと使えなくなったことありませんか?

目に見えない部分のこうしたきさげ加工や超精度での仕上げ。要素部品にかける工数。

残念ながらこれらは必ず初期コストに反映されてしまいます。


だから日本製は高くて中国製が安いのだと思います。

おそらく数年後には一斉に答え合わせができてくるのではないかと思います。

日本には素晴らしい工作機械メーカーがあります。

金属加工機械が有名なのですが、

建材加工機械も素晴らしいんだと声を大にしていいたいところなのです。

我々のものづくりはこうした日本の素晴らしい機械によって成り立っているのです。

さぁ明日から工場参観日です。


関市で真面目にものづくりをしている関市の会社さんが工場を開放するので、
ぜひ見て実際に働いている人に話を聞いてみてください。

工場参観日についてはこちら

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