最新のボード加工設備とは?静岡丸仲商事さんへ行ってきた件③
さてようやく多分最後になろうかというところでございます。
静岡の葵区にあります、丸仲商事さんへ伺いました。
後半はいよいよ実機へ行き、そこで対応をいたしました。
次回設置機械の打ち合わせになります。
リニアガイド
工場にはリニアガイドがありました。
世界的トップメーカー、THKというラベルが貼ってあります。
こういう状態で入ってくるんですね。
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ちなみに会社にあるリニアはTHKと海外製のものがありますが、海外製はサビがものすごいです。
過酷な環境下であっても耐久性はかなり高いのが実証されています。
もちろん、リニアのボックスもセットです。
5Mなど長物はどうするんですか?
と聞くと、それは工場でつなぐのではなく、THK社の方で長物を組んできてもらい、それを組み付けるという話でした。
やはり接合部で段差ができてしまうと大きな問題に発展しそうです。
逆に長物の場合はラック・アンド・ピニオンギヤが多いとのこと。こちらはつなぎが自由になっております。
実機も見せてもらったのですが、つないであります。
ただし斜めにスリットがはいっており、
【なぜ斜めになっているのでしょうか?】
と聞くと、
【歯車の形状が斜めになっているから。】
ということでした。
歯車が斜めになっているのはおそらくバックラッシュなどの影響を少なくするものだと思います。
※バックラッシュは、歯車が動くとき、微細な隙間が必要です。これが精度に与える誤差みたいなものです。
新型機の特徴
我々が導入する新型機は、複合マシニングセンタなのですが、新機構をいくつか搭載しています。
もう出来上がりの状態で確認ということだったのですが、いくつか気になる点がありました。
1軸のボールネジ駆動(32φ)の大型ボールネジをつかい、両端に渡って駆動させる方式です。
片側ボールネジ、で見た目はガントリータイプになります。
背面側がどうしてもボールネジがむき出しになるので、ここが少し心配な箇所ではあります。
一般の機械であれば全く問題はないと思います。
我々の素材は粉塵となって宙を舞います。
ボールネジへの粉塵付着がすすめば、摩耗が一気にすすむという特徴があります。
おそらく材料中でもパルプ、石膏などはそれほど影響は少ないと思いますが、シリカやバーミキュライト等の粉末は非常に硬度が高く、
工作機械へのダメージも甚大です。
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180kg可搬の大型ロボットアームです。
ロボットというのは小さければ安いというものではないようです。
180kg可搬の大型ロボットアームは、自動車業界で標準のようでコスパに優れているということでした。
また懐が深いので、大きな動きができるようです。
吸着は、シュマルツ製パッド式です。
エアーで吸着をするのですが、広範囲にわたって吸い付けることが可能になります。
エアーで強烈に吸い上げるので、2枚取りといって、複数枚持ち上げてしまうケースがみられましたが、
現在改善により、一枚づつピックアップすることが可能になっております。
ヤスカワのサーボモーターが取り付けられています。
横方向25φの転造ボールネジによる駆動です。
サーボモーターなので、現在地や、現在の情報をエンコーダーで、司令室に再度情報を送ります。
つまり双方向で会話しながら駆動ができる。そんなイメージですね。
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抑えはエアーシリンダーとバネによるもので、ドリルの浮き上がりを防止しています。
当日はドリルの選定がうまく行かず、やはり重ねたボードへの抵抗で止まってしまったり、貫通しなかったりと問題がでました。
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また物理的にボードを抑え込むクランプがふぞくしています。
オイル給油が手動であるのが少し気になりますね。
オイルは高級な耐熱シリコングリスです。
摺動部は5回程度、主軸のギアにもグリスを充填させますが、この回数が多いとギアケースがパンパンになり、動かなくなってしまいます。
これはシンクス社のNCルーターで経験済です。
注意点
個人的にはお願いしていたことがうまく伝わっていない件がいくつもあり悩ましいところではあります。
大分心配事が増えてしまいましたが、今回すべておまかせ状態になっていたのが原因かなと反省しております。
私の管理ミスですね。
すり合わせをしながら今後うまく稼働させていく必要があります。
正直な感想
本当に素晴らしい見学体験でした。
かなりつっこんだ質問を様々な担当さんに質問したのですが、ビックリしたのが
みなさんが、明確な意思をもって答えていただけたことです。
通常突っ込んだ質問だと
”ちょっとそこは・・・”とかありそうなものなんですが、一切ありませんでした。
なぜこうしているのか?と言う事に対して担当者さんが全員その理由をしっかりと把握しており、自分の頭で考えて
そして実行していることがわかりました。
たんにお金儲けのために一台一台の機械を制作しているのではないことがよくわかりました。
ボトムアップ型の文化がしっかりと根づいており、全員が全員自分の意思と知恵を働かせて動いている。
そう感じました。
日本のものづくりの強みを見せていただいた気がします。
我々の業界はどんどんと海外のメーカーが入ってきています。
しかしこの丸仲商事さんのように、高い技術とすり合わせ能力、自社設計、ロボットも含めたライン構築などやはり海外製品にはできない
良さというもので勝負していると思います。
これは機械だけではなく、我々においても同じことがいえるのではないかと方向性を見せていただいたような気がします。
ありがとうございました。