ド田舎ロケット25
さてみなさまこんにちは。
まぶちでございますよ。
○インターン中盤を超えて
インターン期間も半分を超えて連日の作業が多くなってきました。
製品というのは作って終わりではなく、各種の試験も行わなければなりません。
不具合の芽を事前に消し込んでいく作業が必要になります。
この作業は将来起こりうるあらゆる懸念点を推察し、推理することで
その芽を一つづつ削っていく作業です。
もし現場に設置して後から問題が起こればとんでもないダメージになってしまいます。
たった一つの部品のサイズや、寸法の違いでこうした問題点が起きてしまうのです。
とんでもない沼にはまり込んでしまった・・・
このころはそう思っていました。
我々のモチベーションは、日々形になっていくシャワルームの形だけでした。
CADで設計した部品図を全体として展開するとそこには微小な誤差が出ます。
またその誤差を修正することで、誤差が生まれます。
作って、組み上げてを繰り返せばそれはほとんどの場面で上手くいくことになります。
しかしそれでは水槽に穴が空いているようで限られた予算を無駄に流し続ける事になってしまいます。
○CADCAM
トマト工業では4種類のCADに連動したCADCAMの仕組みがあります。
CADとは、図面をパソコンで上げるものです。
CAMとは図面を機械言語、もっと簡単に言えば座標値に置き換えるものです。
これを駆使しながら少しでもダメージが少なくなるように設計を繰り返します。
PCでの設計変更は軽微ですが、それが下流に流れると大事になってしまいます。
トマト工業の理論に上流下流理論があります。
例えば上流で不具合のヒトピースを流すとします。
それが下流域に行けば行くほど回収が困難になってしまいます。
そのためより上流域でその問題を掴みとることになります。
その源泉はその異物を出している大本であり、そこを絶つことが最も大切である。
という理論です。
○押し寄せる壁
連日のシャワー設計に加え日常業務というものがあります。
仕事も繁忙期を迎えつつあり、欠員、人員不足、キャパシティ不足に加え我々のできる範囲とそうでないものを超えつつありました。
皮肉なことに、シャワーがようやく形になってきたことで我々の前に
外野の声という物が次々に浴びせられるようになりました。
○メンタルの重要性
なにかをやろうとするとき、一番問題になるのはメンタル面だと思います。
どんなに辛くてもやる気さえあれば前に進むことができる。
そう思います。
インターン生は確固たる自信があるわけではありません。
それはそうです。初めてなのですから。
やる気を削ぐ外野の声、これがもっとも懸念すべき点であることにこの後気づくことになります。
それはまるで地獄へと引っ張り込むかのように脚に、手に絡みついて取れなくなる枷のようでした。
ある時橋本くんが珍しく暗い顔をしていました。
”どうしたんだ?”
聞くと、開発中のシャワーを見た人から
”背が高すぎる”
”構造がおかしい”
”普通はそんな作り方をしない”
などの声が出つつある。
ということを聞きました。
私は猛烈な怒りと悲しみを感じました。
無駄に見える背の高さは開放感というお客さんのメリットを求めたものでありますし、構造についても運搬性を含めたシミュレーションの中で生まれたものです。
製作方法については既存の枠を外れていたかもしれません。
確かに外野の声というのは大事です。
しかし新商品の開発にとってすべての声を聞いていたらおそらくは
イノベーションというものは起きないと思います。
我々が目指すべきは今までにない革新的な機構を盛り込んだものだからです。
外野の声を聞いて聞いて開発すればより安全な方に進み、
結局は既存の商品とよく似た平凡なものになるでしょう。
○とんがった商品というのは?
中小企業の戦略は大企業とガチンコ勝負をしない。
ということです。
我々が目指すべきものは、
大手企業が参入しないニッチな分野での商品です。
もし我々のような中小企業が大企業が開発する大市場で売れるものを開発すればどうなるでしょうか?
一時はよいかもしれません。
しかしその後一気に大企業に市場を奪われることは必至です。
マーケットを細分化し、自社が入れる立ち位置を見つけそこに存在意義を発揮するのが中小企業の取るべき戦略です。
中小企業の王道だと思います。
それは橋本くんとの話でも一致しています。
我々のような企業は
万人受けはしないかもしれないが、特定の分野においては強烈に刺さる。
商品を開発しなければなりません。
限られた資金と、人材と、時間でこのニッチな分野を開発すること。
これが中小企業に課せられた使命なのです。
ともすれば
”たくさん売れる”
ことを目指しがちですが、端からそうではないのです。
○伝えたいこと
少人数でのチーム、特に目指すべき方向性が一緒のチームであれば
最大の力と機動力を発揮します。
これが大人数であり課長、次長、部長、常務、役員、社長と
各種稟議を通さなければならなかったら
どんどんどんどん商品のカドがとれて丸くなってしまうでしょう。
それで果たしてイノベーションがおきるのでしょうか。
そして橋本くんに言いました。
”絶対行ける。このまま行こう。”