ド田舎ロケット10
10.はじめての成果
インターン生というのは、同期がおります。
橋本くんはG-NETさんでも第27期のインターン生です。
同じインターン生同士、横のつながりでもって、モチベーションを高めあい、
そしてこの厳しいプロジェクトを達成するべくすすめていっているのです。
当然彼らにも競争意識があり、そして仲間でありライバルでもあるのです。
中にはプロジェクトや運もありますが、途方もない成果を生み出すインターン生も中にはおります。そりゃもうびっくりです。
スーパーサイヤ人みたいな、スーパーインターン生とでもいいましょうか。
みながそれぞれの会社でそこを目指しているんです。
この競争意識こそ成長を促すための大事な要素であると思います。
これが成長の外部要因なのです。
一方で成長の内部要因としてはなにが挙げられるでしょうか。
◎成長の内部要因
橋本くんは、シャワールーム最大の難所である床の部品設計に入っておりました。
アドバイスは最小限にとどめ、自分の頭で考えてほしいと伝えてあります。
日中は報告を受けながらも日々の業務をこなしていく必要があります。
◎成長のために必要な事
成長のために必要なこと。これはなんでしょうか。
彼のようにやる気が高い人材の場合、スポンジが吸収するかの如くいろんな要素を吸収していきます。
しかし彼に足りなかったもの。
それは成果です。
◎小さな成果
すでに同期の人たちの中には、一定の成果を得ている人たちがおり、
橋本くんの話の中からそれらの情報を聞き出すことができました。
ときに、焦りとも不安とも捉えられるような気がしました。
我々のプロジェクトは壮大であります。
このすべてを設計から製造、そして広報、販売までを担うという途方もないプロジェクトでした。
普通に考えたら絶対に無理というプロジェクトです。
それぞれプロジェクトは会社によってことなり、難易度もことなります。
我々のプロジェクトは難易度S級ランク。
大きな山を超えるにあたっては、小さな成果というのが必要です。
例えば高い山を登るにあたって大事なことはなんでしょうか。
”やぁ橋本くん、明日エベレストに登ってくれないか。”
こんなことを言えば、一瞬で挫折します。
エベレストに登りたいんであれば、まず最初は小さな山から登らなければなりません。
先ず隗より始めよ。
小さな成功体験がやがて大きな成功をうむ。
当たり前の言葉ですが、ここに集約されると思います。
◎床の開発
床の設計は難航を極めました。
家は基礎から建てます。
これは土台が重要であるからですが、その土台となるのがユニットの床です。
通常の床であればいいのですが、シャワーユニットは防水仕様である必要があり、
かつ水がきちんと流れることが必要。
将来的には軽量化も必要であり、床のガタツキに対してある程度の許容差をもつ必要もあります。
人間が乗ること、四周の枠を固定する手法が必要です。
我々の目指すべきシャワーユニットは、いままでの仮設ユニットの1.25㎡から大きくサイズアップさせる必要がありました。
サイズアップさせるには、当然重量がかさみます。
この重量をしっかりと受け止める機構を床側で作る必要があったのです。
とにかく要求条件が多い。
そしてコスト感についても青天井ではありません。
迫りくる設計期限のなか、私も橋本くんも24H頭の中をシャワールームがぐるぐると回転しています。
床の設計について頭を悩ませていましたが、彼特有のコミニケーション能力でもってこの殻を破りました。
製造と話しあい、そしてCADにて設計図を書き、それを検証することでこの殻を破りました。
余計なコストをかけず、かつ開放感をだすほどの広さを確保すること。
同時進行でいくつもの案件を動かしました。
社会人になると複数のタスクを同時並行で動かす必要があります。
これを初期に学んだことで
同時並行してタスクを進行していきます。
5月18日
ついに橋本くんは自分自身の力で一つのパーツ、最重要な床パーツの図面を作りあげました。
ここにはいくつかの床材、金具が接合されます。
そのパーツ穴等がぴったりと収まる床パーツの設計ができました。
パーツ対、パーツの関連性がある場合、切削加工後に組み合わせ不良があればとんでもないロスになります。それは時間的ロス、加工費用的ロス、そして製造への信頼感のロスです。
これを事前にCADによって潰していきます。
CADによってシミュレーションできるということが如何に重要であるか。
それがわかってきたと思います。
そしてそれを先輩の協力のなか成し遂げました。
これが2ヶ月間で初めて出した成果です。
テンション高めの日報が送られてきました。
橋本くんの日報から
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皆さん!
今日で、シャワールームの床部分の設計図ができました!
達成感を感じています。
1からスタートした今回のシャワールームプロジェクトですが
重要な設計図は終わりました。
完成できた図面を見ていたら特に複雑な図面ではなく
プロからすれば1日でできる図面でした。
それを、2週間程度かけて作成していたので効率的じゃなさすぎて
がっかりしています。でも、達成感はあります!
このよう に、シャワールームが形に見えると、イメージがつきやすいですし
何より達成感が感じられます。
床の部分は2週間、時間がかかってしまいましたが屋根・壁部分は
急ピッチで進めていきたいと考えています。
そのためには、入念な打ち合わせと効率性が大切だと思いますので
それが怠ることのないようにしていきたいです。
【今日の感謝したい出来事】
坂井さん土台作りにアイデアを出してくださってありがとうございます。
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日報の返信フィードバックにはこうあります。
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お疲れ様です。
馬渕です。
今日は前回に引き続いて欠員が出て朝からバタつきましたね。
(いつもの。)
床設計について
設計の概念を少しづつ理解していくことで製品の改変数が減らせると思います。
屋根の制約により床サイズが変わる可能性があるので、もう一改変あります。
なんとか土日で仕上げを頑張ろう。
窓の開口部
ドアの開口部については多少難点が残っているものの、一番大事な土台が終わるとあとは
全力で突っ走るだけです。
試作工程 が長引くと広報の時期がずれ込んで計画に支障をきたす可能性があるのでいまが勝負どころだと思います。
ではまた土曜を楽しみにしています。
馬渕
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橋本くんが初めて一つの成果をだしました。
床の設計。それは2週間かかりました。
たった一枚のパネルです。
しかしその成果物はいくつもの困難を超えたからこそ、見える最高の景色でした。
2人で喜びを分かち合いました。
かれが書いているようにプロからみたらなんということのない図面の一つだったかもしれません。
しかしこの最初の一歩は確実に”シャワー開発というエベレスト”の頂上につながるものになると
思いました。