ド田舎ロケット9
9.ゼロからの設計
関のビジネスプラス展
5月に入り、津保川は鮎取りの時期が近づきます。
橋の上に人々が川を眺める風物詩の季節がやってきました。
津保川は他の川と異なり、水深が浅いので、上から鮎がどの岩場についているのかがわかるのです。
自転車で通りがかると手を降ってくれます。
”おうっ❢❢❢”
なんつって
津保谷では桜を押し出すようにして青みが強い葉々が出てきます。
そうするとあたり一斉に青緑の森が浮かび上がってきます。
まるで山全体が緑青の花のようです。
そしてこのころから会社の展示会が始まります。
関市を中心に、志の強い企業が集まってきている関市ビジネス+展、
この通称、ビジプラ。
ここで橋本くんも一緒になり
一般のお客様に会社としての思いや商品紹介をすることで
会社の一員としての思いを強めたことと思います。
設計を行う
我々は設計という業務を外注化できなくなりました。
この挫折を乗り越え、
もう一度立ち上がり、そして燃料を投下する必要がありました。
【お客様のニーズ】
これが我々の合言葉ですから
もう一度原点に立ち返る。
そのため橋本くんは最初に200人近い方々からアンケートを取りました。
◎アンケート結果
そのアンケートを取り
シャワーに求めるもの。というアンケート結果からすると清潔感がトップになりました。
清潔感、スペース、水圧
言い換えるなら
清潔感、開放感、快適性
です。
このアンケートなんですが、ほぼ想定通りになりました。
しかしもう一度確認する事ができました。
そしてこれを突き詰めたさきに我々が本当に目指すべき商品がある。
このアンケートを道標に、まだだれも見たこともないシャワールーム開発へとすすんでいきました。
設計士さんが外れたことにより、たった二人の商品開発チームが設計を担当することになりました。
CAD講習会
製品設計というのは、絵を書くことと根本的に違います。
図面を制作すること、それは全体図から部品の製品図まで起こさないといけないということを意味しています。
まずCADから勉強しないといけません。
急遽私が講師となりCAD講習会を開きCADの勉強を行いました。
建築業界で普及しているJWCADというCADは2Dながら直感的な操作方法が特徴です。
非常に素晴らしいCADなんですが、なんと無料。
そのため自宅のパソコンでも簡単に図面を引けるという特徴があります。
確かに本格派には物足りない部分も多いとおもいますが、
文系脳でも直感的でわかりやすい、非常に優れたCADです。
トマト工業では5台のNC機に4つのCADCAMが入っております。
私が普段から簡単な図面を書くときは、JWCADを使うほどです。
一番基本ベースのNCルーターはこのCADによって加工を行います。
◎CADの特徴
CADの特徴というのはどういったところでしょうか。
普通の絵がかけることとの違いを説明いたします。
・寸法の概念
CAD(コンピューター・エイデド・デザイン)の特徴は
絵と違い寸法(サイズ)の概念があることです。
寸法を入れると、絵が等倍で動いていきます。
このメリットは例えば工場に機械を配置する際に、工場のサイズ、機械のサイズなどを正確に表示させることができます。
ここに通るべきフォークリフトなどのオブジェクトを配置すれば、サイズの配置や動線など最適解をパソコン上で導き出すことができます。
・レイヤの概念
レイヤというのはイメージが難しいですが、普通の絵は一枚でできています。
レイヤでは層を分けて絵を書きます。
そしてそれを何枚も重ねることができます。これのメリットは例えば本体と、背景と表層材と分けた場合、背景を取り替える事で何枚も絵をつくることが可能になります。
また表層材を変更することでパターンを変えることができます。
このようにレイヤの概念をまず勉強しました。
・製図の概念
JWCADにおいて一番大切なのは、複線の概念です。
この複線を使って加工線を書くのですが、
この複線機能があることで直感的に製図ができます。
こうしたCADの概念をザッと勉強します。
携帯の使い方でもそうですが、
説明書を何度も読み込むよりも実際に触って行ったほうが覚えが早くなります。
そのためいくつかのテーマを施したあと、すぐに実地に入ります。
◎すぐに試合に出れる中小企業◎
中小企業は実地までが異常に速いのです。
例えるなら、
”おう、橋本くん、ようこそ我が球団へ。
じゃあ明後日練習して
来週から早速試合でDFやってくれよな。
左サイドバックな。
えっ初めて。
ダイジョブダイジョブ。
ウチらクラスの左サイドバックなんて体あててポーン前蹴っとけばいいんだから。
安心して。安心。
えっ!?システム?
何いってんだ。そんなもん、ないないないないない。
うちにあるシステムは
システムキッチンくらいなもんだ。
ワハハ。
おう、今のとこ笑うとこだぞ。
遠慮するな。ガハハ。
そうそう、左ウイングの”みねぎし君”とよく話しといてくれよな。
あぁ、あいつはちょっと偏屈でな。
お見合いに、サイクルジャージ着てきたほどのツワモノだぞ。
ちょっと癖があるからな。
でも趣味が君と同じジャグリングだから問題ないだろ。
じゃあな。よろしくぅ❢❢❢ハッピハッピー❢❢❢”
そんな感じなんです。
(監督バカだろ❢❢❢)
とにかく
すぐに試合に出れる。
◎図面の作成
この講義後、橋本くんは早速自分自身で部品となる製品のパーツ作りに取り掛かりました。
すべてやらなければならない。
と思うのか、
なんでも学べる。
と思うのか。
捉え方で人生のものの味方が変わります。
このなんでも学べる。ここが我々中小企業の最大のメリットだと思います。
5月15日の橋本くんの日報
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CADを使って図面作成をしました。
床部分の作成ですが、約70%完成したところだと思います。
最初は使い慣れなかったCADですが、使っているうちになれるようになり楽しくなってきました。
今までの日報を振り返ってみると、要求仕様書の作成やデザイナーとの打ち合わせ、展示会参加、自分の立ち位置などのシャワールームとは間接的に関係している悩みが多かったと思います。
もしデザイナーさんがいたら今も同じく間接的にシャワールームに関わっていて今のように濃い日々を送ることができなかったと思います。
デザイナーさんがいたらCADも使えなかったですし。
構造の理解ができなかったと思います。
本当に内容の濃い日を過ごしています。
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◎悩みへの対処方
インターンを始めると必ずといっていいほど悩みや問題点、軋轢が生まれます。
我々アラフォーの脳みそPC98系男子においても
大好きで結婚したはずの嫁さんとも上手く行かなく成ることもあろうかと思います。
むしろあの頃にもどってその時の浮ついたニヤケ顔に、
日向くんのタイガーショットをお見舞いしたい事もあるでしょう。
(リアルすぎるだろ!)
他人ならなおさらでございます。
ではこうした悩みへの対処はどうしたら良いのでしょうか。
◎優秀なコーディネート機関
橋本くんが恵まれていたのは、G-NET(コーディネート機関)さんというところで
企業とのコーディネートをしてもらえることです。
担当である石田さんとは、毎月1回面談を行い、軌道修正やプロジェクトについての話合いを設けます。
またいつでも相談できる環境にあるため会社、インターン生双方から相談して間を取ってもらっています。
この相談環境は大きいです。
私も流石に、
右側頭部が薄くなってきている問題については
北朝鮮問題の次に問題視しているわけでありますが、
これ以外はなんでも相談しましたよ。
とにかく前向きな回答が帰ってくるんでいいんですよね。
会社、インターン生、そしてG-net石田さん。
この3者が協力することで上手く回転していくのでございます。
また過去の事例や、現在進行系の他の会社さんの状況から正しく導いてもらうことが出来るのです。
こうした優秀なコーディネート機関なしには、このプロジェクト自体ありえないものでしょう。
設計を始めた橋本くんに対するフィードバック
日報の返信
フィードバック
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今日は個人的には結構時間が取れましたね。
さて、CADの中でもJWCADは非常に優れたCADであり、
高いのに使いにくいCADもある中で異色の存在です。
フリーなんで自宅等でもできるメリットがあります。
今回このCADをわざわざ勉強した目的は
1.ソフトを学習することでサイズ感を身につける目的
2.サイズ、寸法の概念になれる目的
3.今後想定されるサイズ変更への柔軟な対応ができる目的
と幾つかあります。
迂をもって直となす。
回り道をしているようで近道と考えました。
例えば今後工場との打ち合わせに入る際には、
色々交渉も入ると思います。
アメリカ人と交渉するときに英語が喋れるのと、通訳を介すのには大きな差があるように
CADを使って寸法の概念が出来れば製造、設計と同じ目線にたてます。
これは交渉事で大きなメリットになると思います。
いずれにしても大変貴重な機会ですので、あまり時間をかけない範囲で学習していきましょう。
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こうして我々はCADを勉強しながら並行して設計製作に本格的に突入をしていきました。
そう、すべてはお客さんの笑顔をみるために。
そう、すべてはお客さんの笑顔をみるために。