ものづくりの町、関市とは？工業都市である【5つの理由】
どうもこんにちは
まぶちでございます。
●ものづくりのまち
さて、今日は関の工場参観日です。
関の工場参観日にあたり、関市の経済から見る歴史を学んでおくことでより学びが楽しくなると思います。
というわけでスタート！！
関市というのは、関の刃物で有名なように世界三大刃物の町です。
刃物っていうと、日用品をイメージしますが、戦国時代は刀なので、
当時最先端の軍事工業都市だったわけです。
日本刀で鉄板を切る動画を見ましたが、
すさまじい切れ味をもつ日本刀。
これを作ってたということです。
で、この当時の最先端の技術、
今どうなっているかと申しますと、
工業として今に受け継がれています。
これが工業の町、関市の源流になります。
関市工業の特徴
関市が工業都市であるのは、以下の5つの分野別特徴があるからです。
1.刃物
これはもちろんそうですね。
日用品の刃物が有名で、フェザー、貝印などの巨大企業を筆頭に、
刃物メーカーがいくつもあり、分業体制が構築されています。
また派生して工業用刃物などに転用されて大きく発展しています。
刃物というのは、特殊ないくつもの特殊な工程で作られます。
分業体制がとられており、
市街地のど真ん中でも普通に研磨屋さん、プレス屋さんがあるのが特徴です。
これは、様々な分野に転用できる工業的素地があるということです。
2.自動車
関市は濃尾平野の北端に位置し、
地理的に非常に豊田市と近い立地関係にあります。
もともと最先端の金属加工技術があるので、当然自動車産業にも多くの方がたずさわってみえます。
経済ロードといわれる東海環状自動車道は、
関市を頂点として、南東に豊田、西に工業都市大垣、南西に工業都市四日市
と工業都市間をつなぐ東海工業エリアの輪に入っています。
関市の工業団地にもたくさん自動車工業系の会社がはいっております。
3.航空機・工作機器産業
関市の南側には、航空機の町、各務原があります。
名前の由来のとおり、だだっぴろい原っぱを利用して戦中巨大な航空基地がありました。
現在陸上自衛隊各務原航空基地があります。
工業としては、
川崎重工業航空宇宙カンパニー岐阜工場があり、
名古屋第二工場も近いです。
さらに、
三菱重工業の大江工場
さらに飛島工場
と目と鼻の先という航空機産業の東海航空クラスターの一角を担っています。
つぎに工作機械
こちらは四皇ですが、
工作機械の四強
をご存知でしょうか。
DMG森精機
ジェイテクト
オークマ
ヤマザキマザック
DJオグマとおぼえます。
ここ試験に出ますよ。
（でるか❢❢）
です。
4強の一角、
オークマ社とマザック社は目と鼻の先、愛知県は大口町に本社があります。
まだまだあります。
4.バルブ
関市の隣は、バルブの生産地、山県市（やまがたし）があります。
こちらは、繊維産業の木管工業から来る、旋盤技術に特徴があります。
旋盤というのは、刃物は固定して、
工作物をグルグル回して加工するものです。
野球のバット加工イメージしてみてください。
あれが旋盤。
自動車の金型などはどちらかというと、平面加工いわゆるフライス盤加工が多いですが、
こうした旋盤加工技術を生かした水栓バルブの集積地がすぐとなりにあります。
工業というのは、つまるところ平面加工（フライス）と円筒加工（旋盤）が基礎になります。
関市は結構旋盤加工をしているところも多いです。
つまり、旋盤もフライス盤も両方行ける。ということです。
さらに、刃物を切り抜くプレス加工、金属バフ加工、金属研磨加工などの工場も大変多いです。
工業にともなう基礎基盤がしっかりできている。と言う事なのですね。
我々インドネシアで部品を作ってもらってるんですが、まぁ大変なんです。
なにが大変かと言いますと、例えば日本で1つの商品を作ろうと思えばどうにでもなりますよね。
しかし、インドネシアの田舎だと、基礎基盤がないんです。
例えば金型が作れない、この樹脂は加工できない、あの資材がジャカルタしかない。
など制約だらけなんです。
一方関市周辺は
人口わずか数十万の場所にあらゆる基礎基盤が集積している。
という極めてレアケースなのです。
5.機械要素部品
機械要素部品も大きな特徴です。
隠れた関の名産と言えると思います。
めちゃくちゃ目立ちにくいんですが、超優秀な企業が揃ってるんです。
機械要素というのは、機械を構成するネジやベアリング、さらには、レールやモーター、摺動部品など構成する部品です。
工作機械に付随する構成部品なども結構関市の企業がつくっていたりします。
これらのメーカーが一定数存在しているのも特徴の一つと言えます。
参考までに、ミスミラピッドデザインの提携データです。
数えると、25社あるんですが、
その中に、なんと関市に生産拠点がある会社が多く入ってます。
岩田製作所さん、イマオコ-ポレーションさん、
それに
NBK鍋屋バイテックさん
美濃には、IKO日本トムソンさんの主力工場もあります。
もちろん、点々でみれば、THK、NSK、SMC、CKDなど大企業があるのですが、
4社/25社と関市がいかに金属系加工に強いかがわかると思います。
さて、ここからはおまけです。
6.木工・建材加工
最後に我々が属する建材・木工について。
建材については、名古屋が合板の産地であったこと。日本の中心にあることから主に
キッチンメーカーの製造工場が多く集積しております。
高級キッチンのトーヨーキッチンスタイル社は関市に本社工場があります。（関市）
タカラスタンダード岐阜第二工場（関市）
LIXILサンウェーブ工場（可児市）
まさに中部キッチン製造の大拠点です。
このあたりの企業がキッチン関係で有名です。
加工分野においては木工・建材加工の最先進地域には間違いなく岐阜県が入ると私は思っております。
地政学的影響
では、なぜ関市が工業都市たりえたのか？ということをさらに深掘って考察していきたいと思います。
●平地に恵まれている。
地政学的影響で言えば、平地に恵まれていると思います。
これは、東海の2大河川、木曽川と長良川にはさまれた立地であり、
広大な平野は工業立地の確保に利点があります。
●川
岐阜は海なし県ですが、
飛山濃水というように、（飛騨は山、美濃は水）水が豊富です。
関市は、木曽御嶽山を源流とする木曽川と
白山系大日ヶ岳をを源流とする、長良川がはしっています。
今話題の半導体工場、こちらは川のそばに建てられますが、
そのように工業にとって安定した水の大量確保は不可欠です。
※300mmのシリコンウエハーを1万枚製造する工場だと、1日に3000トンの水が必要になるようです。参考文献：半導体工場のすべて
西濃を代表する企業、イビデン、いまや半導体業界にはかかせない世界的企業ですが、
揖斐川電力という電力会社であったということを新聞社の記者の方から聞きました。
まさに川が産業の基礎基盤であることを示しています。
●雪が少ない
北陸は、たまに大雪があると物流が完全にストップしてしまったりします。
冬将軍というやつですね。
しかし美濃地方は冬は雪が少ないです。
これは、北風（正確にいうと、福井県からの北西からの風）が
伊吹山などの山脈で一気に雪を降らせてしまうからで、
真冬でもほとんど雪がふらない特徴があります。たとえば厳冬期の1月、2月になると、
月に2回くらいふればいいかな？のような感じです。
●災害がすくない。
大雪が少ないのもあるのですが、台風についても同じです。
文献はありませんが、台風のエネルギーは、海岸に上陸した地点で、熱エネルギーが変換できなくなります。
つまり上陸した地点からみるとすでに相当数減衰されている。
海なし県、華なし県のメリットですね。
（華なし県いうな❢❢）
また3方向を山に囲まれているので、地形的にも大きく守られているのかもしれません。
さて、このように関市という場所が工業に適しており、それが世界三大刃物工業のなりたちとなったようです。
現在では源流をもとに、発展しているのが、この関市の町ということになります。
関市は市街の中心部であっても、工場がたくさんあります。
また個人でも工房をもって自宅で金属を加工していたり、研磨していたりと町全体がものづくりの文化になっているのです。
関市は工業の町ですが、市を上げてこれを応援しており、超優秀なんです。
各務原や、郡上の企業さんからは【支援がすごいので羨ましい。】と言われます。
関市には他の市役所にない課があるのをごぞんじでしょうか。
刃物まつりという祭りがあるのですが、その一大ビックイベントを取り仕切るための課名前はわすれましたが
産業振興課だったかな？
巨大なイベントを取り仕切るためのノウハウがすでにあるんですね。
明日は関の工場参観日最終日です。
トマト工業は明日はないですが、
とても素晴らしい会社さんが工場を公開しておりますので、ぜひ参加してみてくださいね。
ではまた！
