FRP防水層のフクレの直し方(ベランダFRP防水)
Q:
当方塗装屋ですが、いつもお世話になってます。
施工したFRP防水層が膨れて困っています。
理由はなんでしょうか?
FRP素材屋さんというところが日本一の知識を持っているということで教えてもらいました。
また直し方を教えてほしいです。
A:
ありがとうございました。
基本的にfrp防水層は一体のシームレスになっていますので、機能上は、膨れても問題はないです。
ただ、美観上よろしくないのと、キモチ悪いので直したいですよね。
補修用の製品リンクを貼っておきますので、ごらんください。
さて、直し方ですが、フクレの大きさにもよります。
よくフクレをクレーターのように切り取って再施工するケースがありますが、あまりオススメできません。
理由は2つ
①シームレス構造に防水欠損を作ってしまう。
機能上問題がないFRP層を自ら壊してしまうこと。
②美観上治すのが難しい。
クレーターにした場合は治すためには非常にテクニックが要ります。
なぜか、それはたとえば湿潤状態で完全にフラットにしていたとしても、樹脂が収縮するので、硬化後見た目が変わってしまうからです。
そのため、収縮率を計算に入れたうえで施工する必要があり、高度な技術を必要とします。
樹脂の収縮率が7%で、ガラスとの配合率がこれだけで、気温がこれだけで、硬化剤の添加量と、下地の熱と・・・
これら変数を全部取りまとめて、多少盛り上がるくらいに施工する必要があり、高度な知見が必要です。
そのため、より簡単な案をここでは提唱します。
手順
大変ありがたいお言葉感謝いたします。
日本一かどうかは不明ですが、ここでは、
1級および岐阜県防水優秀施工技能士として解答いたします。
まずは、釘もしくは皿ビスを用意します。
皿ビスはハードルが高いので、釘を推奨します。
クレーターの上から釘で物理的にまず固着させます。
下地によって打つ回数を変えますが、なるべく多めに固定させてください。
長さ約30mm、線径1.8mm等(細い方が施工性は良い。)ステンレス推奨。ユニクロ、鉄は素材中の含水によってサビる可能性があるため。
2本以上のビスをハの字で打ち込めば、抜けにくくなります。
このように下地に固定させた状態で、上から1plyFRP防水をかけるという方法です。
部分的でもいいのでは?という解答に関しては、最もですが、
怪しい箇所を今回の補修で釘で潰しておいて、全面かけるのをおすすめしています。
理由は他の場所からも上がってくることが推定されるからです。
想像が大事
想像してほしいのですが、下地の中には大量の湿気を含んでおり、それが蒸発する際に、体積が一気に増えます。
それがFRP防水層をおしあげた原因となります。
仮にその施工をすべて自分がやっていればよいのですが、全体的に密着が甘い可能性があると考えるのが自然です。
であるなら、全体的に怪しい部分は抑えておいて、防水をかけたほうが無難です。
また、層が太くなることで、膨れる可能性が激減します。
研磨 サンディング
研磨は#30の布ペーパーでしっかりと全面かけます。
ここがゆるいと、浮き剥がれがでますので、全力で行います。
そのうえで、#380のマットを一層しきつめ、(下地のみで可)
FRPで防水、中塗り、トップコートの順で行います。
※しっかりと研磨がかかっていること、ゴミ、粉がないこと、トップコートがFRPトップであることの条件が揃った場合、
プライマーなしでの施工が可能です。
トップコート
トップコートは0.4kg/㎡に対し、1%の硬化剤を入れてよく混ぜます。
滑り止めの骨材も入れておきましょう。重量比10%前後
全体が綺麗になれば、お施主さんも喜んでくれるはずです。
どのみち、再塗装が必要だったのが、今回のフクレでサービスができましたよ。
ということを伝えてもらうと、お施主さんも、工務店さんも、全員がハッピーになると思います。
最後にきちんと掃除を行い、チリ一つない状態にしてから、退去しましょう。
優秀な施工者の現場はすべて綺麗に整っているはずです。
それではうまく仕事がすすむことを祈念しております。