防水トップコートの前に中塗りをする理由とは?
Q:防水トップコートを塗る前に中塗りをすると思いますが、その理由を教えて下さい。
A:FRP素材屋さん馬渕です。
いつもお世話になりありがとうございます。
中塗りとは、ガラスマットが入っている防水層を作ったあと、
樹脂にトップコートを混ぜて塗る工程です。
その後研磨をいれてトップコートを塗っていきます。
工程順序
1.プライマー
2.FRP防水層積層
3.中塗り
4.トップコート仕上げ
といった流れでしょうか。
1と2の間に下塗りをする場合もありますが、これは最終防水層が汚くなる恐れがあるため実務上は省いても問題はないケースの方が多いです。
さて、トップコート前に塗る
この中塗り、実は省かれやすいですが、非常に重要な意味を持ちます。
いくつか理由があるのですが、
1.美観面:通常防水層はガラスマットの目がでてしまいあまり綺麗ではありません。
そのため中塗りをして研磨することでこのガラスマット目を目立ちにくくするのです。
2.性能面:伸び率の緩和という役割があります。
トップコートは樹脂の中でも非常に硬い素材です。耐候性、擦傷性などを上げるため硬度が硬いです。
しかし、その反面靭性(曲げ強度) に劣ります。
グミの方が柔らかいですが、クッキーの方が硬いです。しかしクッキーの方が割れやすいと思います。
つまり防水層がグミ、その上にクッキーがあるようなイメージですね。
そのグミが動いた場合、クッキーは割れてしまいます。
伸び率が違う二つの素材というのは本来付きにくく、剥がれやすいです。
この中にお互いの特徴をもった(混ぜてるので当たりまえですが、)樹脂層を一回いれるだけで耐クラック性などをあげることができるのです。
3.施工面:研磨工程が後工程で入りますが、中塗りはその手助けをしてくれます。
透明な防水層にあるバリや異物などは非常にわかりづらいです。
しかしここに色をつけてあげることで、バリや突起物などがわかりやすくなるのです。
それをサンディングで磨いて平滑を出してあげればトップコート後の研磨作業は必要なくなりますよね。
4.対クレーム面:硬いトップの下にダイレクトに透明な防水層があるとします。もし室外機や倉庫などをゴリゴリ動かしてしまったばあい、トップが剥がれたとします。
すると透明な防水層がでてきてしまい、お施主さんからするとすぐにクレームになります。
水が漏れそうですものね。
しかしこのトップの下に同じ色のついた樹脂が塗ってあれば、ほとんどその不備が目立たなくなります。
そのためクレームがおこりにくいのです。
これを防水工事のトップ下といい、サッカーと一緒で大事なポジションになるのです。
というわけで上記4つの意味合いがあり、非常に重要なんですね。
工期が遅れてくると、この工程を省きガチですが、きちんと中塗りをやっている工事はすぐにわかりますよね。
FRP素材屋さん 馬渕