その③石膏メス型転写がうまくいかない?なぜ
Q:石膏のメス型からのFRP成型品は石膏型が壊れながらもなんとか脱型できましたがFRP成型品表面に石膏やPVAがまだらにこびりつきなかなか取れません。お湯を使ったりアルコ-ルを使ったりしましたがうまくいきませんでした。商品として売られているラジコン飛行機のFRP胴体はとてもきれいです。これに近ずけることは可能でしょうか?
A: こびりつく原因の一つが表層の凹凸だと考えられます。そのため表層を研磨等でフラットに近づければ顕著に改善するかと思います。
推測になりますので 写真があるとわかると思います。
どうぞよろしくお願い致します。
Q:FRP素材屋様
オス型と脱型した石膏メス型と成型品の写真を送ります。成型品の表面はゲルコ-トを塗ってあるに
もかかわらずかなりひどい状態です。塗装するためにサ-フエ-サ-を吹くので使えないことはありま
せんが商品として販売しているラジコン飛行機のFRP胴体とは相当の差があります。大量生産なので
石膏を使っていないと思いますが初めてFRP成型した感想としてはガッカリです。成型品はお湯で洗い
ながら金属製ヘラである程度へばりついた石膏を落としました。オス型はピカピカで石膏メス型も問題あ
りません。思いつく原因としてところどころ空気が混入しているのですがガラスクロスに樹脂を含浸させる
際に樹脂が粘性が高すぎて十分含浸していないような気がしました。一つの方法としてFRP樹脂を希釈
するシンナ-(?)を使ったらどうかと思いました。また離型材を十分塗ってあるにもかかわらず石膏が
へばりつくのは普通なのでしょうか?もう少しクオリテイ-を上げる方法を教えてください。
A:いつもお世話になりありがとうございます。
FRP素材屋さん馬渕です。
まずは真因を突き止めましょう。
トラブルに関しては極力上流側で潰していくことが重要です。
◎トラブル解消の考え方
トラブルが出たときに、下流側で回収しようとすると恐ろしい手間がかかることがあります。
例:上流で産業廃棄物を流出したことを例とすると、下流域河川でこの産業廃棄物を
拾うことは大変な労力となります。
出どころの工場を突き止め、その穴を塞ぐことが根本解決となります。
そのため重要なことは
1.根本的な真因を突き止めること
2.なるべく上流域で原因を止めること
です。
◎推察される原因
まずは原型のオス型の方の表面精度が重要になります。
これが石膏の方に転写されます。
おそらく比較対象の販売されている製品のオス型は表面がツルツルしているため
離型しやすく、抜けもないのだと推察されます。
ピカピカのように見えても表層に細かいキズ(のようなもの)があれば
それが転写されて引っ掛かりとなります。
オスガタの仕上げサンダーの番手は何番程度になりますでしょうか?
欠損があればポリパテで埋めて(手持ちの樹脂に粉を混ぜて創ることもできます。)
コンパウンドレベルまでピカピカにミガキあげる必要があります。
もうひとつ、原因の突き止め方ですが、
くっついている場所、くっついていない場所があるかと思います。
不具合から目をそむけたくなるのが人情ですが、ここにこそ真因が潜んでいる可能性があります。
くっついている場所になんらかの原因があるかと思いますので、調べてみましょう。
※気泡がある、欠損がある、傷がある、塗料が硬化してないなど
◎樹脂含浸の問題
樹脂含浸の問題は、粘性によるものも大きいですが、
シンナーによる粘性を下げることのデメリットの方が遥かに大きいです。
全部は挙げられませんが、
1.気泡の侵入
2.上塗料のハクリ原因
3.物性低下
4.剥離
などです。
ガラスクロス、マットを当てて樹脂を入れた場合、気泡がでるのは、
カドのRがきついこと。
凸形状の異物が混入していること。
をまず疑ってください。
直角部に布の服を当てても反発してしまうように、形状的にピッタリと行かない部分もあります。
その場合は気泡が入りやすくなります。
先持ってパテで埋めるという方法もあります。
◎離型の問題
きちんと離型処理がなされてあるのであれば本来石膏とFRPは剥がれてくれるはずです。
ではなぜ離型しないのか?という問題ですが、各工程に問題がないとすると微細な凹凸によるもの。
と推察されます。
レゴブロックは、物質同士が科学的に密着しているわけではありませんが、かなりの強度でくっついています。
アンカ-効果という現象ですが、これが塗装前に研磨する理由になります。
プライマーによるミッチャクよりも遥かに高い性能を有します。
つまり微細な傷があるのであれば、これが原因の可能性が考えられます。
一度ご検討いただきますようよろしくお願い致します。
FRP素材屋さん馬渕
Q:FRP素材屋さん馬渕さま
オス型は3Dプリンタ-を使った成型物で非常に正確です。仕上げはサ-フエ-サ-を
吹いて最終的に極細のコンパウンドで研磨してツルツルです。石膏メス型は表面をよく
見るとかなり小さな巣穴がかなり開いていました。原因として考えられるのはこのメス型
は木枠を組んで石膏を注ぎ込んだのではなく石膏を節約するために硬化しかけの石膏
をオス型に手でなすりこんだからじゃないかと思っています。この巣穴の開いた石膏メス
型にサ-フエ-サ-を吹いてツルツルに研磨してもよいでしょうか?石膏にサ-フエ-サ-
は密着するでしょうか?
A:石膏の方に問題があるということですね。
ここにカイゼンポイントがあるということですね。
今回の仮説をもとにカイゼンしていきましょう。
サフェーサーは研磨しやすい反面、表層が脆い可能性があります。
出来なくは内と思いますが、今回のケースでは少し少量で試すのが良いと思います。
きちんと硬化した石膏であればミッチャクはします。
どうぞよろしくお願い致します。