ド田舎ロケット7
7.マーケティングの原点へ
開始数週間で、設計から全部自分たちで行うことになってしまいました。
我々は太平洋のど真ん中で羅針盤を失った船のようでした。
そこで我々がとった方向性は、マーケティングの原点に立ち返り、
お客さんのニーズに沿ったものを作っていく。
という方向性を取ることにしました。
設計士さんも橋本くんもそしてトマト工業も
それぞれの想いがあると思います。
今回の方向転換はそれを上手くまとめられなかった私の責任です。
しかし走り出したプロジェクトに調整の時間はありません。
残り6ヶ月で結果をだすために自社にてすべてを行う。
という方向に方向転換をしました。
ここから慌ただしく計画が回転しだします。
◎自社設計へ
設計士さんには謝礼を払ってすべてを自社にて(開発チームにて)行っていくというように方向性を定めました。
橋本くんにしても、当初設計士さんがつくった設計図に基づき、商品を作っていく。というスタイルでのプロジェクトであったと思います。
しかしそれが開始わずか数週間で崩れたわけで、
一体このプロジェクト、どうなってしまうんだろうか。
そういう想いがあったと思います。
設計ができなければ、試作、製造もできません。
この最大の困難においてさえしかし情熱の炎が消える事はありませんでした。
橋本くんはむしろそれを楽しんでさえいる。そう思えました。
そしてその
前向きな姿こそ我々がインターンに
もとめていたものなのです。
これを契機に我々の合言葉は【お客様のニーズ】になりました。
橋本くんの日報にはこうあります。
5月7日日報
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・・・・・中略
今回のシャワールームは、トマト工業の強みと革新性が掛け算したものを作っていきたいと思っています。
しかし、実際に製品のイメージがわかないと始まりません。
現段階では、試作品をつくる段階ですが、お客様が求めている1.清潔感、2.スペース(開放感)3.水圧(快適性)を重視するのはもちろんなのですが、トマト工業にいるカンボジアの方たちが快適に浴びられるようなシャワールームを作っていきたいと思いました。
利益ベースで考えるのはもちろんですが、まずはユーザーの【笑顔】を見るためにトマト工業と僕とで全力投球していきます。
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日報返信フィードバック
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我々がどんなに他社より秀でた技術を持っていても
売れなければ何もなりません。
したがって我々の都合だけではなく
顧客目線というマーケティング的思考が一番大事になりますよね。
さらに市場には競合がおります。
その競合との立ち位置も考えなければなりません。
我々はヤクルトやカルビー、トヨタといった市場リーダーのようにこちらの都合だけでは製品開発をできない制約がありますが
制約の中でどんな手を打つのかにワクワクしてくるとまた面白いですね。
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中小企業である我々には制約が多いです。
しかしその制約の中でこそ知恵が生まれたり革新的なアイデアが生まれたりするのではないでしょうか。
我々には商品がどんな形になるのか。全くわかりませんでした。
それは真っ暗な闇の中にいるようです。
しかし暗闇は一人では心細いですが、
今は一人ではありません。
その暗い暗い夜道を橋本くんとあるきはじめました。