ド田舎ロケット3
2.インターン生との出会い
そうは言っても
中小企業には開発に伴う3つの資源がありません。
それは資金、設備、人材
です。まぁほぼすべてですね。
この三資源をどうにかして集めないといけません。
まずは資金。ローカルベンチャーには潤沢な資金があるわけではありません。
資金については、積立を使うことにしました。
積立とはなんぞや。と言われるかもしれませんが、
代表の個人資産を会社に積立しています。
私が日夜、自転車通勤をしており、かつ築14年の中古住宅にすみ、
閉店間際の半額惣菜を買って回っておるのも、
スカルプシャンプーをわざわざお値打ちな方に変えているのも
ひとえにこうした事態に備えるためなのでございます。
(何の商品だバカッ❢❢❢)
積立をしておるのでございます。
これを当てました。
それに以下に記す”中小企業支援プログラム”に申請を出すということを行いました。
設備についてはトマト工業はボードの加工のほぼすべてが出来ます。
それぞれ
設備はたとえ一級品ではなくとも、
みんなで力を合わせる事が大事なんです。
まるで我々中小企業ではないですか。
そして人材。ここが最も大切なところ。
これがほぼ8割をしめるんじゃあないでしょうか。
商品を開発できる人材
商品を開発できる人材というのは実は限られております。
お客さんの立場にたって考えられる、
マーケティングセンスと技術的な整合性を取るための実務能力、
それに調整能力も必要です。
そこで、この人材活用に、インターン生を活用することにしました。
岐阜県のG-NETさんをコーディネーター機関にしてインターン生を受け入れました。
インターンというとお試し的なところを想像されると思いますが、
そうではなく、ガッツリと入って行動する。というのが本筋でございます。
イメージとすれば、会社のエンジンというのは、代表が担っていることが多いです。
このエンジンを2馬力にする。そんなイメージです。
インターン生の応募
ではどうやってそのインターン生を募集するのか。という話ですが、
G-NETさんのインターンフェアを活用しました。
優秀でやる気のある学生さんを100人ほど集めてもらえるので、
そこで会社がプレゼンテーションを行うのです。
インターン事業については、会社がプレゼンテーションを行い、
その事業に興味をもった学生が会社のブースに来る。
というかなりガチなプログラムだったのです。
我々の事業とか会社に、もっと言えばプレゼンテーションに魅力を感じないと学生が来てくれないのです。
会社の名前とか、過去の実績とかそんなものが全く通用しない。
むき出しの世界。
働く動機とか、成長できるかとか、将来への希望とか、そういう話しになるのです。
確かにiPhoneがよく売れて、ディズニーランドが流行っているのは、そのもの製品が良いだけではなく、会社や製品に対する愛情があるから。ということです。
つまりそのレベルまで昇華させる必要があるのでしょう。
難しく言い方になりますが、
聖闘士星也がセブンセンシズに目覚める。
そんな感じでしょうかね。
(たとえが小学生かバカッ❢❢❢)
この会社のプレゼンテーションにより、数名候補がありました。
その一人が橋本ファブリシオ君です。
彼はブラジルと日本のハーフであり、将来外国人人材に関わる仕事をしたい。
というか、生い立ち上、
しなければならないというある種使命をもっている学生でした。
ではなぜそんな人材が商品開発をしようと思ったのか。
外国人人材のために働かねばならない。
これは彼の宿命です。
しかし大学の専攻はマーケティング。
この宿命的なズレが我々との出会いでした。
マーケティングのプレゼンテーションで全国大会に出たほどの猛者でございます。
大学でマーケティングを勉強することで人材の仕事をする前に、
最後に商品開発がしたいという想いが出てきたようです。
その橋本くんとの2人三脚、最初の半年間が始まりました。
なぜインターン生でなければならないのか。
ここでなぜわざわざそんな事業をとおしてまでインターン生でならなければならないのか。そう思われますし、実際によく聞かれます。
それは以下の課題と解決方法があるからです。
◎不確実性が高い事業であること
それは”不確実性が高い事業であるから”と言いかえることができるでしょう。
不確実性が高いというのは、言い換えれば、
外れる可能性が高い。
と言い換えても良いです。
将来もしかすると固定的な負担となりうる正社員をやとってまで
外れる可能性が高い事業を行う愚かな経営者はいないでしょう。
戦地で言えば未開拓の地の突撃任務を担うもの。
と言えばわかると思います。
そこに何が待っているかはわからないのです。
◎高いモチベーションが必要であること
日々の定形業務であれば社員やパートでも良いでしょう。
しかし将来を左右する大きなプロジェクトを動かすには絶対的に高いモチベーションが必要です。
それは給料のためであるとか、待遇のことであるとか、そういったレベルを
はるかに超えた動機が必要になります。
この商品制作を通じて会社を発展させ、そしてもって地域雇用を生み出し、経済を回転させる。その行為自体を通じて自分自身が成長するんだ。という高い目標への参画意識が必要になります。
◎考えること
日々の定形業務とことなり、新規事業では、考えるということがひたすら多くなります。
圧倒的に。
日々の定形業務が迷いを削り取っていくための作業であるなら、
新規事業はだれもいない真っ暗な闇をすすむ迷いの中にあるといえるでしょう。
この業務を行うのは、本来社長や専門の商品開発部といったレベルの人たちですが、中小企業にはこうした専門人材がおらず、日々の業務で手一杯になっています。
そもそも田舎の中小企業には商品開発部などありません。
社長というのはまさにその職業の典型であるのですが、中小企業の社長のやることの多さといったら無いです。
あらゆる全ての業務に精通しなければなりませんし、
問題は日々起こり、
無駄の芽が毎日うみだされています。
急速になくなっていくのは、資金と髪の毛だけ。
(なんだそのたとえバカッ❢❢❢)
勉強を欠かしては秒速で落城し、そして会社に問題があれば自分自信にすべて跳ね返ってくるのです。
これが今中小企業庁で大問題になっている廃業率の増加と事業承継の問題にもからんでくるのですが、その話は後々。
さてその中でこうした新規事業を自らの頭で考え、そして行動する。こうした活動が必要になってきます。
自らのこころのコスモを燃やしながらその灯りですすむべき道を探していく作業なのです。
インターン事業で大切なこと
インターン生ががっつり業務を行うこと。
これは難しい面をいくつもはらんでいます。
ぽっと入ってきたインターン生においては社内との温度差が生まれやすく、
調整がうまくいかないことも多々あります。
いや殆どがそうでしょう。
既存の社員からすると”ダレなんだお前は。”ということになります。
代表はそこに対するアプローチが必要です。
会社のためにこの新規事業が絶対必要であり、その任務を担って入ってくる。
というコンセンサス(事前同意)が必要になります。
これを社員に先に説いておく必要があります。
そして社長(もしくは権限者)直轄事業とし、
最優先事項であることを告知しました。
幸いにしてトマト工業では社員がみな若く、年代も近いことからすんなりと溶け込めたと思います。
そうして力強く前に前に前進していくエンジンが会社に入ることになりました。
こうしてひょんなことからインターンでこの商品開発専門に現役大学生の橋本ファブリシオくんがはいることになりました。
そして日夜知恵を絞って開発に取り組むことになりました。
足掛け2年にわたる涙ぐましい努力があったのでございます。