キャッシュフロー計算書がなぜ必要か?

 

去年のキャッシュフローの記事を読み返して捕捉できそうな箇所がたくさんあったので再度アップしたいと思います。

 

 

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先日うちに来る銀行の担当君が

 

”試験があるんだけど、キャッシュフロー計算書の意義がよくわからない!”

 

と嘆いて見えたので、このブログを借りて説明しようと思います。


 

キャッシュフロー計算書という物を探る前に

なぜキャッシュフロー計算書が必要か

ということを考えるとわかりやすいとおもいます。

 

 

回り道をしてでも深く知ったほうがかえって簡単に覚えられるという

記憶版迂直の計でございます。

※経営の実務では細かい項目まで精査しないケースが多く細かい部分で間違いがあると思います。私は学者でもなんでもないのであくまで実務上意味のあるだろうという事を書いていきます。

 

従来
1.損益計算書(利益の計算書ですね。)PS
2.貸借対照表(資産の状況ですね。) BS

 

という2つの財務諸表で会社の状態を表していました。
ウチの経理の後藤にも話したのですが、

 

ここで大事なのは実務上完璧ではない!ということです。
それは、以下の法則を基本としているからです。

 

1.決算書は正しい情報とは限らない。
2.決算書が良くても経営の存続とは別問題である。

 

ということです。

 

 

1.決算書は正しい情報とは限らない。

ですが、これは特に弊社のような中小企業の場合、公認会計士などの監査が入るわけではもちろんありません。

あくまで合法上ですが、決算書の数値をいじることは可能です。
その為、今期実務上は利益が出ていたとしても決算書上利益を過小に評価することも可能ということです。

学校出たてですとなかなか理解しにくいですが、実務上はこうしたケースが多々あるのです。

2.決算書が良くても経営の存続とは別問題である。

というところが本題のキャッシュフローの問題です。

決算書が良くて利益が潤沢に出ており、かつ資産状況、自己資本比率が多くても倒産するという可能性がある。
と言う事です。
ここがキャッシュフローの一番のミソ。

 

とんかつ定食でいうととんかつにあたりますね

多分銀行の担当者さんが覚えられないというのは必要性が分からない。

というところから来ているとおもいます。
気持ちがよく分かります。ボクもそうでしたから・・・

なんだよ。そんなまわりくどいこと言って。必要性なんてそんなん必要無いじゃん。とくかく覚えればいいだけでしょ!といわれるかもしれませんが、
テストであっても必要性が重要なことはあります。テストというのは出題者の気持ちになることが試験攻略のカギだと思っています。

今回の出題者はキャッシュフローにおいて重要なのはキャッシュの動きなんだ。
ということを試験を通じて伝えたいのだとおもいます。

特に銀行関係の試験の場合、巧妙に隠蔽された中小企業の決算書をもとに真実を暴き出す必要があります。

 

見かけ上よくても貸出先が倒産してしまったら銀行にとって大きな痛手となってしまいます。

 

と、すれば

出題者が一番もとめているのはまさにそこだと思います。

試験の点数の重み付けもそこで変わってくると思います。

 

出題者の傾向

”このA社の見かけ上よさそうな決算書において、問題点を上げるとすればどこか”

 

という問題が出題されるのは明白です。

ここが試験のポイントであるからです。

※キャッシュフローだから当たり前ですが・・・
損益とバランスシートが一見よさそうに見えるけど、この会社ホントに大丈夫なの?
※この一見よさげな会社実は危ないんだけど、どこが原因かわかるかな?
ということを毎年出題しているのでしょう。

 

出題者も実務レベルで起りうるケースを想定するでしょうから、

この場合ポイントはわずか3つだけと思っても良いとおもいます。

 

キャッシュ・フロー計算書の問題には以下の3点に絞り込まれる!

1.設備投資
2.売掛金
3.在庫

 

この3つを抑えておく必要があるとおもいます。

あとはとんかつ定食でいうと“つけもの”みたいなものです。

1.設備投資。

売上がドンドンあがってくると設備をしたくなります。中華専門チェーン店舗と仮定すると売上の増加でチェーン店舗を増やしたくなります。
現金で1億買っても今期の経費は300万円にしかなりません。「減価償却費といって経費を按分する必要があるため」

 

だとすると利益はたくさんでてもキャッシュでどんづまりになってくることがあります。
キャッシュの動き自体は実は貸借表と損益表にタイムリーに反映されないのです。

 

2.売掛金。

これも大事ですね。経理の後藤にも言いましたが、売掛金(受取手形)と買掛金は借金と貸しつけ金と思うべき。と。
売掛金が貸付金だとすると、自分の体力以上に貸付金(売掛金)が増えると自分の手持ちキャッシュが減ってしまうのです。

これがキャッシュフローの計算でつまづく売掛金「および受取手形」の加減算なのです。

売掛金の増加は損益でいうと売上の増加でとても良いことですが、キャッシュの面から見ると激しくマイナスなのです。

 

たとえばある外壁工事店が中堅のゼネコンさんから急にたくさんの仕事がくるようになりました。

ただ、バカみたいに長い手形(6ヶ月後にもらえる権利書)のため、売上が増えるにつれて、資金繰りがきつくなり、最後は倒産の憂き目を見た。

というケースです。

 

手形関係の大口顧客からの注文が増加すればするほど、キャッシュ・フロー的にはマイナスというわけです。

なぜなら手形をもらうというのは、実質貸付金に等しいからです。体力もないのに、貸付金が増え続けるのはどう考えても長続きしないですよね。

 

売掛金の増加がキャッシュのマイナスを引き起こしたケースです。

 

本質は売り掛け、買い掛けはキャッシュの貸し付け、借金ということです。

 

3.在庫。
最後の在庫。これも経営上いつもやり玉に挙がるものです。
ある小売店が、売上が増えてきて、メーカーから大量に仕入れてもらえば安くできるから。ということで大量に仕入れてしまった。資金繰りに窮してしまった。と言うケースです。
在庫=棚卸資産の増加はキャッシュのマイナス方向!ということです。

故に各会社は在庫削減に必至になっているということです。

 

在庫の増加は、キャッシュの減少をもたらす。

 

 

 

専門的な話になりましたが、損益、バランスSの抜け穴をキャッシュフローで補えば新しい実態が見えてくる!という事ですよね。

それに+して、キャッシュフロー計算書では
営業活動によるキャッシュフロー
投資活動によるキャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフロー
に分かれています。

何だよ・・・それって・・とボクみたいな凡人を激しくつきはなすキャッシュフローですが、
じつは非常に簡単で合理的なのです。

営業活動というのは本業で稼いだキャッシュです。利益や売掛金の増減などが含まれます。

投資活動というのは設備投資など将来への投資のお金です。

財務活動というのは銀行さんからお金を借りたときや資本金を増減したときのお金。

という理解でほぼ間違いは無いと思います。

 

 

つまり営業活動でキャッシュマイナス

投資活動でキャッシュプラス

財務活動でキャッシュプラス

のばあいを想定します。

全体としてキャッシュが増えていたとしても上記のケースですと

 

営業活動でキャッシュが増加していない。「利益が出ていないケースが多い」

投資活動でキャッシュプラスということは利益が減っているので、投資活動を抑えている。

さらに

財務活動でキャッシュプラスということは借り入れ金を増やしている。

ということで今後これがつづくと銀行の金利返済などで大変になってくるということです。

 

あとはそこに枝葉をつけていけば非常に覚えやすいですね。

考え方としては、

営業活動で当然キャッシュをプラスに持っていくこと。
投資活動によってキャッシュが減っていると言うことはキャッシュの観点から見るとマイナスですが、経営上将来へきっちり投資をしているということである程度ここがマイナスにふっているのはなんらおかしいことはありません。
財務活動によってキャッシュが増えているということはキャッシュが増えているので、よさげですが、銀行さんからの借り入れがふえているということで注意が必要なのです。

2社比較でいくとどちらもキャッシュフロープラマイ0とします。
A社
営業10
投資-5
財務-5

これは営業活動によるキャッシュフローが10出ています。
本業の利益などが10出ています。 良い状態ですね。

投資活動によるキャッシュフローが5減っています。

投資活動のキャッシュが5減っています。
これは前期に比べて積極的に投資をしていると言う事になります。

財務活動によるキャッシュフローが5減っています。
これは借入金の返済などでキャッシュが5減っています。
B社
営業10
投資 5
財務-15
こちらは営業は同じ、
投資を大幅に減らし、その分借り入れの返済をしていると言うことです。
ついでにC社
営業10
投資-30
財務20

こちらの会社は営業キャッシュと銀行の借入金を元手に大がかりな投資を行っているのが見えますね。
このように違った面から企業を見れるのがキャッシュフロー計算書なのです。
またキャッシュフロー計算書は損益計算書とバランスシート=貸借対照表から作る事が出来るのです。


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