「建築資材の違いを徹底解説!石膏ボード・合板・ケイ酸カルシウム板・フレキシブルボードの特徴とは?」
さてみなさまこんにちは。
今日は日々加工している、がっつり加工しているプロの立場から、各種建材を解説してみたいと思います。
木質建材と不燃建材とは?
建材には大きく分けて、木質建材と不燃建材があります。
木質建材は、無垢板、合板や、集成材、チップボードなどで、木材を原料とした素材です。
一方で、不燃建材は、ガラス、石膏、セラミックなどの炭素を含まない素材です。
項目 | 無機建材 | 有機建材 |
---|
主成分 | 無機化合物(鉱物、金属など) | 有機化合物(植物、動物、合成素材) |
耐久性 | 高い | 比較的低い |
防火性能 | 優れている | 一部は燃えやすい |
重量 | 重い | 軽い |
断熱性 | 低いものが多い | 高い |
主な用途 | 構造材、外壁材、基礎部分 | 内装材、仕上げ材、断熱材 |
加工性 | 加工が難しいものが多い | 加工が容易 |
合板カテゴリ(木質系)
針葉樹合板とは
こちらが、針葉樹合板、5層になってるのがわかると思います。
実際は表層に節があります。
サンドイッチ構造とすることで、縦にも横にも強い構造としています。
サキイカも、縦には避けますが、横には割きづらいですよね。
コラム①ティッシュ実験
試しにティッシュを4層に折りたたんで、割いてみてください。その場合、繊維方向が縦横で、裂けづらさが
全く変わります。
詳しくはこちらのブログを。
また、同じ配合で貼合することで、ソリを防止してます。
ファルカタ合板とは
こちらはファルカタ合板、表裏にラワン合板を、内部に軽量のファルカタ材をいれることで、軽くなってます。
比重はこちら
合板が0.55くらいなのに対し、ファルカタ合板だと比重0.43(厚みによる。)
と軽量です。
ラワン合板とは
こちらはラワン合板、比重0.55。軽量で加工性もよく表面もきれいです。
家具内装用に使用されてます。
下地だけでなく、押入れでは、そのまま使ったりします。
これのほか、シナベニヤの合板もあります。
こちらはより目が詰まっており白っぽくてキレイです。
コラム②加工による表面性と、物性の違い
このコラムでは加工によって板の物性が大きく変わることを説明します。
まず、板の厚みを出すには、プレスする方法と、研磨する方法、主に2種類あります。
それがそんなに重要なの?
って思われるかもしれませんが、最後まで聞いていただければ納得すると思います。
①プレス成形の場合
プレス成形の場合、上下からプレスで抑えつけます。
すると、表面の方がどんどん圧縮されて固まってきます。
これが岩盤層を形成します。
見た目がツルッとしててとてもキレイなんですね。
②研磨成形の場合
一方で、研磨成形の場合、この岩盤層を削り取ってしまいます。
そのため、表層に無数の孔がでてくるので、吸水性が高くなったり、塗料の吸い込みが激しかったりします。
一方で、厚み精度は非常に高く仕上がります。
プレス成形品は表層の岩盤層があり、内部よりも緻密である。
研磨成形品は表層に縦筋ができるが、吸水性が向上し、厚み精度が高くなる。
このように板の仕上げだけで、大きく物性が変わってくるということです。
チップボード(木質系)
木質系では、チップを固めたチップボードがあり、
大まかにはパーチクルボードとMDFに大別されます。
MDFとは
ミディアムデンシティファイバーボード。
非常に細かいチップなので、とてもキレイです。
プレス成形するので、表裏に岩盤層が出来ています。
比重0.8
トマト工業でもよく加工しています。
パーチクルボードとは
こちらがパーチクルボードです。
大きめの繊維で構成されているのがわかりますね。
これこそまさに岩盤層が表裏にできており、表層は緻密、中は多少スカスカで、
そのような構成により軽量化が出来ています。
比重0.72
家具のメイン材料です。
不燃建材カテゴリ
さて、ここからは不燃建材です。
石膏ボードとは
不燃建材では、まずはやっぱりプラスターボード。
大工さんは石膏ボードとも言います。
表裏に紙が貼ってあります。
裏面はこう。
比重0.70で軽量。
なにより安価です。めちゃくちゃやすいので、建築内装用で大量に使用されてます。
石膏はモース硬度で2しかありませんのでとても加工がしやすいです。
たとえば、ケイ酸カルシウム板に含まれるシリカだとモース硬度7もあります。
素材が全く違うものと認識できます。
だからすぐに機械が壊れてしまうんです。
コラム③モース硬度表
物質 | モース硬度 | 備考 |
---|---|---|
タルク(ベビーパウダー) | 1 | |
石膏 | 2 | 石膏ボードの主成分 |
人間の爪 | 2.5 | |
方解石 | 3 | |
10円玉 | 3.5 | |
蛍石 | 4 | |
純鉄 | 4.5 | |
ガラス | 5 | |
ナイフの刃 | 5.5 | 炭素工具鋼の方。合金工具鋼はもう少し硬いかも。 |
歯のエナメル質 | 6 | |
シリカ・スラグ | 7 | シリカはケイ酸カルシウム板の中に混入・スラグはスラグ石膏ボードに混入 |
ダイヤモンド | 10 | 最も硬い鉱物 |
コラム⑤石膏ボードの知見
石膏ボードの石膏は、約20-21%の水分が結晶水として蓄積されています。
火災の場合、結晶水がでてくるので、延焼を防ぐという優れたボードです。
水酸化アルミニウムなども同じような仕組みですね。こうした仕組みを利用して、
日本の超きびしい不燃認定を取得しています。
また、原料は火力発電所からでる石膏をつかってるので、これだけ安く供給ができるというわけです。
とても素晴らしい建材であり、これと木材があるために日本の住宅は非常に安価です。
不燃と防火の違いについて解説してます。
ケイ酸カルシウム板とは
比重0.8と軽量でそこそこの性能を持っています。
そこそこ安く、そこそこ使いやすいです。
石膏ボードとの使い分けは、半外部でも使える点です。
また、厚みバリエーションも多い特徴があります。
裏面はこんな感じ。
大まかには、#60等でサンディング仕上げしています。
場合によって#100で仕上げるなど、バリエーションが多々あります。
モイス(ケイ酸カルシウム板)とは
上記ケイ酸カルシウム板の中にバーミキュライトという吸放湿性のある素材を入れたボード。
比重は1.0から0.9とやや重量感があります。
吸放湿性に優れた素材。表裏を研磨でしあげております。
縦筋がみえてますよね。
これ、仮にプレスで仕上げてしまうと、表層の吸湿性を下げてしまうので、接地面積を増やす効果もあります。
また、お化粧のファンデーションのように、塗料のりが良かったり、塗装の密着製が格段にまします。
プレス品だとすべって塗布量がつかないことがあったり、ハガレやすくなります。
この黒いつぶがバーミキュライトです。
産地によってはアスベストが混入するのですが、日本製が安心なのはこういうところですよね。
ちょっと前にニトリなどで中国建材を使ったアスベスト問題が出ましたが、そういうことです。
トマト工業では、6mm 9mm、9.5mmを常備在庫
2.5mm、3.0mm、4.0mm、5.0mmなどを作ることもできます。
裏面
裏面はこんな感じ。
比重1.0。こちらも高硬度のバーミキュライトやシリカが入ってますので、
機械がすぐに壊れるので、加工には注意が必要。
たとえば、我々、リョービ(京セラ)のTR51というハンドトリマを何十台も運用してきたんですが、
粉が影響してすぐに壊れてしまいます。これは機械に問題があるわけではなく、あきらかに組成中の成分が問題です。
フレキシブルボードとは
最後にフレキシブルボード
比重はなんと1.6。
セメントで硬めたセメントボードです。
加工性は極めて悪く、比重が重いことに加え(合板の約3倍!!)、内部にセメントなどを含むことから、
専用のダイヤモンドチップソーでの加工が必要。
コラム⑥超こうとダイヤモンドの刃の作り方
モース硬度9を誇る超こう(タングステンカーバイド)でも一瞬でダメになります。
雷おこしみたいに、コバルトでタングステンをくっつけています。
もっとも、ダメになる理由としては、ダイヤと超こうでは歯の形状が違うという点も考慮しなければ成りません。
超こうの方が粘りがあるので、刃をとんがらせて作ります。一方でダイヤは割れやすいので、刃を平刃にします。
ようは、超こうは日本刀みたいにつくり、ダイヤはナタみたいにつくってある。ということです。
どちらが良い素材で、どちらが劣ってるという問題ではないです。
“カレー”も”すき焼き”も好みであり、どっちもうまいのです。
誕生日にはすき焼きをたべればいいし、普段はカレーの方がいいのです。
ケースバイケースということですね。
トマト工業では、
すべての素材に対し、販売と加工ができますので、ぜひぜひご利用ください。
ではまた!!