ベランダ防水について
戸建ての住宅ベランダでは岐阜県では結構なシェアを持っていると思います。
直接のお客様はもちろん、工務店様、同業他社様、工事業者様様々なお客様からお仕事を頂き、感謝しています。
いろいろな業者がある中で弊社を選んで頂いているのは、とくにクレーム率の低さからだと思います。
FRP防水自体は歴史が浅く紆余曲折を経て今日に至っています。
今まで他工事から参入と撤退を繰り返しているのが現状です。
きっちりとした施工をすれば、すばらしい性能を得られるFRPです。
しかしながら手抜きをすることも可能で、そうすると一見通常に思えますが、数年経つと必ずその不具合が表に出てきます。
※以下は余談ながらパワービルダー系の下請けさんに聞くと以下の工法はほとんどやっているような印象を受けます。
安すぎるものには意味がありますね。
ベランダFRP防水手抜き工事の例:
1.複層仕様なのに単層仕様にする。
ガラスマットを単層仕様にする方法です。ガラスマットはそれぞれ番手があり、住宅性能保証協会の規定では#380×2層が通常の工法とされています。
これは平方メートルあたり380gの厚さのガラスマットを2層敷きする。と言う意味です。
手抜き工法で1番てっとりばやいのが、この380を450に変えて、1層敷きにするという方法です。
すると必要樹脂量が約30%カット出来るほか、ガラスマット量40%カット、施工時間も20%程度カット出来ます。
または300×2層はまだ善良な方で、300×1層などと予定厚みの半分にも満たない性能をもつ防水もあります。
当然お施主様には分かりません。
2.樹脂のタイプを変える。
FRPの樹脂タイプは下地に追従して伸びチジミできる軟質タイプと一般積層用の硬質タイプがあります。
当然躯体の動きのある軟質タイプがfrp防水下地には適しています。
しかしながらコストが約20%あがるため、硬質を使わざるを得ないケースもある。と聞きます。
硬質の場合、目地の両方にある下地と下地のコンパネに強力に接着している防水層があるとします。
その際、コンパネが地震その他で目地を境に上下にぶれるケースがあります。
上下にぶれると、FRP防水層はそれぞれの合板に付いていこうとし、ヒビが入ります。
これを抑えるには2種類方法があり、
1.のびる軟質タイプの樹脂を使う。
2.目地を絶縁し、目地の周囲をある程度意図的に浮かす。
これらの方法は間違ったコスト削減の1番の標的になりやすいです。
3.プライマーを省く
防水下地には通常プライマーとよばれる接着助剤を塗ります。
様々な下地が使用されますが、それぞれFRP層に適合化させるために塗る物です。
表に出ないので、業者さんによっては塗っていない!という話も聞いたことがあります。
プライマーがないと以下の不具合がでる可能性があります。
◎下地のアルカリでfrp防水層が劣化してくる。
◎木質系下地のヤニ油などで防水層が剥離する。
◎サイディング下地のアクリルエマルジョン塗装などがfrpの硬化収縮で縮れる。
◎粉止めができず防水層が剥離する。
◎下地の含水率を止められず、防水層が剥離する。
様々な不具合をもたらす可能性があります。
4.トップコートの種類を変える。
ベランダは屋根と同じく、太陽光を常に浴び続ける非常に厳しい環境下にあります。
トップコートには屋根と同じく高い耐候性【太陽光の紫外線などへの耐久性】を求められます。
トップコートは耐候性の高いタイプと低いタイプがあります。
通常のfrpトップコートは低いタイプのため、意図的に高いグレードにする必要があります。
どれも表に出づらい部分があり、近年の低コスト化要求によりこれらの間違った方法が取られているのが、悩ましい所だと思います。
5.研磨工程を省く
これは人工計算によりますが、研磨が1番大変ですので、省かれやすいです。
トップコート塗りを後日やらないと行けない現場の場合、化学的接着ができないので、物理的接着になりますが、そうすると研磨が欠かせません。
ですがここを省いたために塗装のはげがあり、直すケースを多々経験しました。
他職さんがベランダにいろんな物を落すため、コレが防水層とトップ層の間にはいるとトップコートの剥離を生じやすいです。
具体的には、外壁のシリコーン、変成シリコーン、外壁塗装の塗料、果ては土壁の土などです。
これらが間に入るとほぼ確実にトップコートが浮いてきますので、注意する必要があるのです。
こうしてみると間違ったコスト削減方法が多々ありますね。