トマト工業オリジナル商品について
我々製造業にとってオリジナル商品というのは大変貴重な存在です。
ウチのやり方は、
”手当たり次第”
商品を作ってはアップして、売れそうなモノをブラッシュアップしていくという手法です。
トヨタの先生に言われた
”巧遅より拙速を尊ぶ”※うまくておそいよりも、つたなくても速いものを重視する。
この思想にもとづいています。
建材はOEM加工や賃加工が主です。
オリジナル製品は主に
トマト工業の商品を販売しているFRP素材屋さんという店舗でのFRP材販の方です。
最初のヒット商品は
1.FRPのセット商品である
ガンバリセット・チャレンジセット・サンキューセット
と言ったセット群です。
お客さんがこのセットを買えばFRPが今日からでもできるというセットです。
このセットに加えてフレンズシリーズを展開しました。
第一弾は
2.フレンズパテという商品です。
入り数が1kg、4kg,6kgとバリエーションがあり、
ホワイトカラーで切削性が良いのが特徴です。
これは自社製造をしています。
当初想定していた、事業ユースの
板金の下地づくり、FRPの下地調整などが主流とおもいきや
☆プラモデル工作用
☆フィギア工作用
に大変人気があります。
これも、あれこれ悩んでマーケットをこちらから想定するよりもこちらから一旦商品を出しておいて市場の反応を見たほうが、お客様のニーズに合致する可能性が高いという典型的なケースです。
そのほか、
2.フレンズシリコン
こちらは自社製造ではなく
大カンからの小分けですが、流動性がよく形馴染みがいいので固定客がついています。
売れ筋は正直このくらいですが、
今回
山田が担当した
フレンズポリ
が売れています。
楽天市場の
ランキングでも1位を獲得しました。
ポリエステル樹脂の市場は
海外産が主流になり始めています。
フレンズポリは国産で低価格という非常に品質と価格のバランスの良い商品です。
そこで国産メーカーが戦略商品として打ち出した
物量がまとまるところにOEM生産するというのが今回の商品です。
新商品は、
ラベル製作から行い、メーカーさんとの折衝を重ね、6月くらいから販売を開始しました。
海外の樹脂というのは硬度がまちまちで、温度が高いとゼリーのように固形化してしまうというケースも年に数回ありました。
また色がロットごとに違うというケースもあり、やはり品質の面では国産に一日の長があったというのが現状です。
同じ一斗缶サイズで値段も変わらないので戦略商品として現在売れています。
思えば戦略商品の役割としては
サッカーで言うと”楔を打つ
Kusabiwoutu”
に当たります。
よくサッカーでも”くさびをうつ”といいますよね。
※もっと柿谷のところで楔を打たないと”ダメ”ですね。などといいます。
これはコンクリートの堅い地盤に楔を打って地場を確保するように
敵の堅い陣地内にいる味方フォワードに対して敵陣深く縦パスを供給することです。
これは相手陣地内に橋頭堡を確保し、チーム全体が押し上げていくためのはじめの一歩となります。
視点を変えて日常生活に置き換えてみます。
たとえばバローなどのスーパーでいくと
”18円のコロッケ”
がコレに当たります。
コレ目あてで全国5,000万人を超えると言われている
コロッケファンが群がるワケです。
かくいう私もこのコロッケの信者でございまして
行くたびに欠品しているため
OH、MAYGOD!!
Why is there no croquettes!!
なぜコロッケがないんだ!
Are you going to make me hungry!?
わたしを餓えさせるつもり!
You want to ”Moe Oshikiri” so much?
わたしを”押切もえ”のような体型にしたいわけ??
という心の叫びを声にしたいのであります。
超絶わかりにくいたとえだったですが・・
ホームセンターバローでいうと、
シリコンシーラント
ティッシュペーパー
などがコレに当たります。
こうした注目度の高い売れ筋商品について
粗利率を意識的に低く設定し、強制的に集客し、関連購買を狙うというアレです。
メリットは目立つ商品を安くすることで集客を図る。
もう一つの
メリットは目立つ商品を安くすることで店舗への安いイメージを付ける。
と言ったことがあります。
我々が”フレンズポリ”なる戦略商材を出した一番理由は以下のとおりです。
現在FRP素材屋さんという店舗で
楽天市場店、本店、YAHOO店、楽天スマホ店、ヤフオク店と展開しています。
非常にニッチな業界ですが、
これもマーケット・セグメンテーション※前回の記事
を意識してマーケットがあえて広がり過ぎないようにシェア1位を確実に取り得る範
囲で店舗と商品群を拡大してきました。
※弱者の戦略でございます。
この”ニッチ”な業界では、シェアの1位を獲得したものの、
後発企業の追い上げが激しく、価格を下げることでシェアを奪いに来ます。
後日説明をしますが、シェア1位の企業とシェア2位以下の企業では取るべき戦略が全くことなります。
我々の強みは1,500点を超える圧倒的な専門商材の種類、サポートの充実が挙げられます。
2位以下の企業は、価格メリット
が挙げられます。
サポートを削ってでも価格メリットを出そうという戦略ですね。
そのため今回の戦略商品の役割というのは、
メイン商材の粗利率を低く設定し、集客します。
サッカーでいうとこれが、くさびを打つに当たります。
そして圧倒的な専門商材の種類を武器に関連購買を狙っていくというものです。
関連購買で粗利率を稼ぎ出します。
単品の価格勝負を避け、ライバルを関連購買全体での勝負に引きずり込みます。
商材数1,500点に対しライバル企業は200点です。
他社からすれば関連購買が期待できず、
かと言って単品の価格で勝負すれば焦土作戦になりかねません。
相手からすれば我々の戦略により
単品商材の価格メリットを失い、
さらなる粗利率の低下を招いていずれは市場から撤退することは必定でしょう。
これが一位企業だけがとれる”強者、王者の戦略”となります。
智将は努めて敵に食む
という孫氏の兵法がありますが、
単品商材という敵の主戦場エリアに対し焦土作戦をしかけることで敵の領土を侵略する。ということになります。
その昔武田信玄は自国に城を築きませんでした。
これは自国では戦をしない。という意思の現れです。
これはまさに孫氏の思考法であると思います。
敵地で戦えば食料も得られ、自国が傷むことはありません。
敵の市場で攻勢をしかけること。
これが敵地での戦い、
これすなわち、
智将は努めて敵に食む
ちしょうはつとめててきにはむ
にあたります。
マーケティングの思考法というのは古来から人類が築き上げてきた戦略に通づるところがあり、大変興味深いですね。