ゴールデンウイーク中の防水工事

G/Wの予定すべて職人さんがフル稼働中なので

今日は久しぶりに現場に入りました。

 

約2年ぶりです。がっかり

 

ブランクが長いので上手くできるかどうかびっくり

 

 

お客様に本当に感謝です。

 

現場は図面値約12㎡程度のところで 

下地は構造用合板、針葉樹です。

 

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◎針葉樹合板とFRP防水の相性について

 

針葉樹は表面の凹凸がはっきりしており、FRPは付着しやすいのですが、節の部分が多々凹んでいるので、注意が必要です。

凹み部分はポリ・ウレタン系シーリング剤を充填して平滑にしておきます。

 

ポリ・ウレタンは硬化する際に多少目減りするので、計算に入れるのがベストです。

※またはポリ/ウレタン収縮後の凹み面に樹脂リッチ【樹脂を多めにして凹み面が平らになるようにガラスマットを浮かせる】にしてガラスマットを意図的に浮かせると言う方法も。

 

あと端部などでビスを打ったところの合板が跳ね返って飛び出て来るのでFRPに浮きが出やすい下地です。

また合板の接着剤が水に弱い尿素系のため、水分を含むと層間で剥離してくる可能性があります。

 

層間剥離に関しては、釘止めである程度は押さえが効きますが、トップ層のゆがみだけはいかんともしがたいです。

※ゆがみが1箇所ありましたが、樹脂リッチにしてガラスマットを浮かせることで平滑にしました。

 

耐水ベニヤはメラミン系の接着剤を使用しており、層間剥離がないです。

 

しかし、現場ではほとんどの場合、内装用の合板を使うため、通常の構造用針葉樹合板が多いです。P1340743.jpg

 

◎下地について

 

 

 

下地調整では、各合板間の不陸を消すためにかるくサンディング【研磨】します。

大工工事のタッカーの浮きや合板のハネ、汚れなどを消す効果もあります。

 

さらに将来、合板間で目地の動きがでることを想定して目地絶縁テープを施工しています。

※FRP2PLYであれば経験上防水の亀裂は無いですが念のため

目地を絶縁しないと、それぞれの合板に接着している防水層が破断します。

 

仕上がりの良さに関しては下地処理で8割がた決まりますね。

 

◎サッシ下まで防水をした方がよいかどうか。

 

結論から言うと、その通りです。

なぜならFRPとサッシの相性が悪いからです。

鉄プライマーがありますが、効果自体それほど期待できないのと

サッシのツバだと接着部分がすくなすぎて十分な接着力を得られません。

 

メーカーのカタログ値があの程度の接地面積でデータをだしているとは思えませんので。

また常時ソリがかかる力を計算に入れる必要があります。

 

結局施工後シーリングで上止めする必要がありますが、シーリング剤での水止めは長期にわたっては良い効果を得られないことは立証済みです。

シーリングの効果はあくまでソリ止めという意識を持つ必要があると思います。,

 

FRPは硬化に伴い体積が収縮します。

収縮はソリにつながります。ソリがサッシを抑えるようなソリであれば良いですが、サッシに対して→||((  こうなるとハガレが置きます。

 

膜厚が厚い程ソリ力が高くなるので、サッシのキワにあまり厚付けをしないように心がけます。

※場合によっては端部のみ1PLYなどにするのが望ましい現場もあります。

 

他にサッシ際のFRPの収縮を抑える方法としては、どちらが正しいでしょうか?

1.ガラスマットを少なめにして樹脂を多めにする

2.ガラスマットを多めにして樹脂を少なめにする

 

答えは2です。

ガラスマットは物理的に収縮しないものです。樹脂が収縮することによりソリがでるため、ガラスマット比率を多めにして、余分な樹脂をさくってやるのが正しい工法。

 

サッシの下に防水が入って折れば、構造上漏れない仕様となり、非常に耐水性に強い施工になります。

今日の現場もサッシ下防水工法です。

工期がないと、当然サッシ工事→防水工事のそれぞれ1工程づつの流れになってしまいます。

 

目に見えないところで無理がある現場だとこうしたことが日常茶飯事におこなわれるのではないでしょうか。

 

◎シーラーについて

 

ウレタン樹脂系のシーラーを塗布します。

ウレタンシーラーは湿気硬化型ウレタンですので、空気中の湿気と反応硬化します。塗った天面から硬化しますので、厚塗りは避け薄塗りが基本ですね。

したから湿気を供給できないソザイや厚塗りは硬化しない恐れがあります。

 

素地によってはウレタン樹脂シーラーが造膜しない場合があります。この場合は、下地が樹脂を吸い込んでFRP層がスカスカになるため、注意が必要です。

 

◎ガラスマット敷き込みについて

 

FRP防水の出始め一般積層用の樹脂を使用していたころはこれでだいぶ破断事故が起きたようです。

 

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防水用に改良された防水用樹脂は軟質改質剤が入っており、目地の動きにある程度追従できるようになっています。

 

ガラスマットの割り漬けに関しては、できあがりの凹凸をなくすため、防水用ほぐしマットを使用します。

 

ほぐしマットのつなぎは繊維がケンカしないように敷き込む必要がありますね。

 

◎積層について

 

敷き込み後樹脂を含浸させて行きます。

 

防水用樹脂はダレ止め剤が入っているため、粘度が高く含浸が遅めです。

その代わり、シリカ粉末の効果で壁面に施工した際に物性が安定し、膜圧を保持してくれます。

ダレ止めは壁面の施工に力を発揮します。

 

価格も高いですが、使って見ると一般積層用との違いは歴然です。

 

積層については樹脂の含浸を塗布ローラーに頼ろうとするとガラスマットの表皮が偏り表面が凸凹になります。

 

あくまで樹脂を置いていくイメージが1番望ましいです。

置いて行けば自然と重力と吸い込みによって浸透していきます。

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キレイにかつ、楽に積層できるのは”動作経済の重力をつかおう”という効果そのものですよね!

 

◎立ち上がりの施工について

 

立ち上がりは基準塗布量を超えるとダレがおき、下に樹脂だまりが出来てしまいます。

施工上の注意点です。

 

透湿防水シートとの取り合いに注意しながら施工。

つなぎは面木の上でクロスさせるようにします。

面木の上下にラインがあるので、ここでガラスマットのつなぎ目を持ってこればつなぎが目立たなくなります。

 

間違った施工にカットしたモノを両側からつきあわせることがありますが、ライン上は補強布が無いわけで防水上大変危険です。

 

◎中塗り

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中塗りはしないという業者さんも多々ありますが、ここではその重要性を説明します。

 

中塗りに関しては、トップコートを適量混ぜて塗っていきます。

トップを混ぜることで、同じ色が付き、万が一トップコートがはがれてもわかりにくくなります。←クレームの減少効果

ベランダ上の物置を移動する際に剥がれたケースがや硬くて重い物と落して直したケースがあります。

 

コストカットの方法として樹脂層の上にダイレクトにトップ層を持ってくる方法があります。

樹脂層+トップ層

それよりも

樹脂層+☆樹脂&トップ☆+トップ

にすることで、それぞれの密着性が高まります。どちらかというと樹脂層が柔らかめ、トップ層が固めだからです。

異種材料のハガレの原因の1つに伸び率の違いがあります。

伸び率の違いを中塗り層で緩和してあげる必要があるのです。

 

またガラス繊維の目を消す効果もあるのです。

良い職人の施工は全て見た目もキレイに出来てます。

モルタルのセルフレベリング見たいな効果ですね。

 

バリバリ現役で施工していたときに、ごく稀に鏡面仕上げのような施工が出来るときがありました。

これは中塗りの粘度がある一定の粘度に達したときにはじめて出来る物で、温度や樹脂タイプ、樹脂とトップの混合比率など粘度の不確定条件が多すぎて本当に稀にしか出来ませんでした。

キセキの瞬間です。

 

鏡面仕上げになった際にあとから現場に入ることがありましたが、ゴミがほとんど付着していなかったのをよく覚えています。

防水工事の永遠のテーマかもしれませんね。

 

◎トップコート

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トップコートはベージュ色、耐候性の高いタイプです。

ベージュ色は耐候性の問題で非常に調色が難しいです。

そのため、通常グレー系が圧倒的に多いのですが、弊社のお客様ではこのカラーが良く出ています。

 

低いタイプはチョーキング=白化、チジミによるクラックが入りやすくなります。 

 

南面は太陽光に常時サラされる過酷な状況ですので、トップ層の正しい選択と施工が紫外線から防水層を守ります。

 

トップコートに骨材を入れ、滑り止めにしています。

中塗りをよく研磨してトップコートを塗ります。

 

よく研磨で平滑性を出すということを言われます。

 

しかしながら車の面積でさえ膨大な時間が掛かるのでベランダのような大きい場所で研磨で平滑を出すと言うことは余り期待しない方が良いと個人的には思います。

一流の職人はこの段階ですでにバリや不陸がなくキレイに仕上がっているはずですので、研磨で平滑性を出すということはあり得ないです。

将来にわたる接着力を高めるための作業という物ですね。

 

研磨することで接地面積を増やすことが出来き、将来のハガレを予防出来ます。

 

トップの基準値は0.4kg/㎡ですが、あまり厚塗りをするとトップ層が破断しやすくなります。

ベストの値は企業秘密ですが、もう少し軽くなります。

 

トップコートに骨材を添加して塗って行くときにはスナ溜りができないよう注意すべきです。

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◎まとめ

 

2年ぶりに施工したので随所で思い出しながらの施工でした。

 

はじめてFRP防水を施工したとき、

 

最初に一人で現場を任されたとき、

 

特殊な事情にぶち当たったとき、

 

トラブルが出たとき、

 

ほとんどの現場はマニュアル通り行くモノ・・・・ではなく、それぞれの特殊事情やイレギュラーが必ず発生します。

現場の職人はそれに合わせて臨機応変に施工しなければなりません。

 

一つ一つの現場はそれぞれお施主さんや工務店さんの強い思いが詰まっているので、専門職としては絶対に手を抜いてはいけないと思っています。

 

一軒一軒の現場がそれぞれ全力投球だったので、

思い出しながら施工すると懐かしい思いがよみがえってきますネ。

 

仕上がりに関して言うと全く問題は無いですが、

全盛期と比べると大分スピードが落ちていることに気づきました。

 

 

今は現場施工からは遠ざかっていますが、やっぱり現場はとても良いモノですね。

 

 

 


ゴールデンウイーク中の防水工事”へ3件のコメント

  1. 防水屋ケン より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ベランダの防水も施工しますが、いろいろな技術がありますね。

    目からうろこですね。

  2. トマト工業 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    防水というのは塗料のように”塗る”のではなく、化学反応をおこすために専門的な知識が必要になってきます。
    専門的な知識だけでできるかというとそうではなくて現場で日々おこるイレギュラーに対応できる知識(実学)も必要になってきますネ!

  3. トマト工業 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    追記
    防水の施工に関しては塗るダケという感覚でいくと100%失敗します。硬化特性のある樹脂と繊維布という組み合わせは単純な塗料ではないからです。

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