ラミネーター
ラミネーターという言葉は一般的ではありますが、
建材用のラミネーターというのはどういう意味でしょうか?
これは家の成り立ちをみれば分かると思います。
従来、家は1本の木から削り出された柱で構成され、杉板などの材料で家が出来ていました。
以後大きな木ではなく、
構成材は、集成材とよばれるつぎはぎの木が登場しました。
表面材は、杉板などから合板とよばれるこれまたつぎはぎの木が登場しました。
表面にでてくる部分は、芯材が合板で、表面だけ無垢の良い所を取り入れたような”つき板”が登場しました。
木材を薄くスライスし、表面に貼付けるわけです。
さてさて近代では印刷技術が向上し、この突き板の役割をシートがになうようになってきました。
※当然突き板や無垢板は大変素晴らしいもので、誰もが良いと思うもののですが、
生もので安定しないこと。
保管管理が大変なこと。
高額なこと。
から普及グレードの家を中心に徐々にシートに移り変わってきています。
もちろんシートにも一長一短があり、どちらが良いかということを述べるつもりは無く、ただ、家の単価が下がってきているに従い、こういった安価な材料も増えて来ていると言う事です。
弊社のラミネーターは強化紙と呼ばれる厚手のシートを貼っていく機械です。
なぜ厚手の紙かと申しますと、ホームセンター等にあるいわゆるプリント合板は
表面がツルツルです。
弊社の化粧板は、表面の凹凸があるタイプです。
このタイプは、木材の道管と呼ばれる筋に対して同調して凹凸があるタイプで、更にプリント合板特有の艶を押さえてあります。
この艶を押さえる事でより本物チックな表情を見せる事が出来ます。
設備設置以来、四苦八苦して安定した製品作りを目指しているのですが、
ラミネーター自体、それ専門に作っている業者がほぼ存在しません。
ロールコーターとよばれる糊付け機を改良して作るのが一般的です。
ここは従来から蓄積した”現場”のノウハウを突っ込んであります。
トマト工業ではマスキングシートを建材に貼っていく仕事をしていたので、このスキルを活かしてラミネートしています。
台板であるMDFなどの基材に接着剤を塗布します。
その後テンションを張った紙をロールコーターで圧着していくわけです。
その後コールドプレスに入れ圧着させます。
前回までは接着剤中の水分によって紙にシワが入るケースがありました。
またサイドの化粧紙がロールコーターのテンションによって上側に跳ね上げること。
堆積時に紙が破れてしまうこと。
です。
当初接着剤はコスト重視で行っており、機械側でいくつか調整を施すという案をとって試行錯誤していましたが、今回はある仮設の元、接着剤を選別することで性能を持たせようと思いました。
仮設とは、
接着剤の水分量が多いことに着目し、水分をより減少させることで不良品をなくすことができるのではないか?
という仮設です。
今回、従来の水分量の多い酢酸ビニル樹脂系接着剤(いわゆる木工ボンド)からエチレンサクビ系、特に水分量が多いものに変更しました。
変更して行ったところ、非常に有効なデータを得ることが出来ました。
その原因は、
1.水分量が少なくなったことで紙への水分の移行が減少し、水分による膨潤現象が無くなったこと。
2.水分量が少なくなったことで初期タック(未乾燥時の初期粘着)が増加し、紙のテンションによる巻き反りを押さえやすくなった。
3.堆積時に紙が破れるのは、水分の多さによる浮き、膨潤の仕業です。これは紙を水に濡らすと破れやすくなるように、乾燥状態に近づけることでその不具合を減少させることができました。
データを取りながら仮設と検証を繰り返しております。